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| 【感想】野田地図番外公演「THE BEE 日本バージョン」(としゆき)2007.06.29 22:46 |
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NODAMAP番外公演「THE BEE 日本バージョン」を見てきました。三茶のシアタートラム。
この作品は昨年、野田秀樹が筒井康隆の小説「毟りあい」を元に英国の劇作家と共同で台本を書き、そちらの役者とともにロンドンで上演した芝居の再演。今回は日本バージョンですから、台本は野田によって日本語でリライトされ役者は日本人になっています。英国での初演を同じ役者・同じ演出で再演する「ロンドンバージョン」も同じくシアタートラムで7月12日から上演。6月22日からの日本バージョンが先行するという形になっています。
この「THE BEE 日本バージョン」、上演時間は約70分と短編なのですが。にもかかわらずお腹いっぱい、とても濃密な芝居になっていました。久々の「番外公演」ということで、狭い劇場で少人数で演じられるのですが。大きな空間、大人数の役者ではできないような装置や身体の使い方が盛りだくさんです。
まず印象的なのは舞台装置。大がかりな装置は舞台上には一切無く、代わりに大きな一枚の紙が舞台奥の天井から釣られていて、舞台の床が客席のちょうど前までそれに覆われているんです。この巨大な紙、もう一方の端がクリップで吊られてバリケードになったり、ドアやテレビの映像が投影されて家になったり、あるいは役者にちぎられることで封筒になったりもします。
そう、映像の使い方も凄いです。奥秀太郎による影絵のようなアニメーションやこの作品のキモである「蜂」が、舞台を覆う紙に投影されます。これがまたカッコ良く、そして効果的なんです。
…とまあそんな感じに、一枚の紙が様々に姿を変え、その上で役者も身体性豊かな動きと共に鮮やかに役を転じる。この空間、この人数(4人)ならではの演出が冴えわたっていました。
この芝居で描かれているのが「人間の恐怖心と、それによってエスカレートされる暴力」であることはたぶん明らかだと思います。ラストシーンは文字通りそれらに「呑み込まれる」ようにして溶暗していくのですが、その恐ろしさといったら、言葉では表現しがたいものがありました。こういうのはやっぱり劇場の空間で観ないとわかりません。
この舞台は、終わって気持ちよく拍手して帰れるような作品では絶対にありません。ただ救いようのない悪夢のみが示され「蜂」に埋め尽くされた舞台が闇に溶けていったあと、僕は呆然としていることしか出来ませんでした。拍手なんてする気分にはなれません。こんなものを見せられたあとでは拍手どころではありません。もちろん良い芝居だったので、カーテンコールはやるべきかなと思い結局拍手はしたけれど。舞台上についさっきまで存在していた空間の重みで、どうにもそれどころじゃなくなってしまうのです。
野田秀樹の演劇は、最後は「祈り」や「願い」のようなモノローグで終わるというものが圧倒的に多いです。そんな中でこの「THE BEE」、筒井康隆の原作からほとんど展開を外れていないだけあって、どうしようもない破滅に至って終わる。それも新鮮でした。
日本バージョンは前売り完売にて、もう当日券立ち見でしか観られないようです。しかし70分なのであまり疲れを感じず観られると思いますので、未見の方は当日券で観劇されてはいかがでしょうか。ロンドンバージョンは、外国語上演のご多分に漏れず前売り普通に余ってるようです。こちらは映像を使った演出は無いようですが、日本バージョンには無い刺激的な演出があるようです。僕はロンドンバージョンも観に行こうと思っています。
あー、絶賛になってしまって若干気持ち悪いな。うんこ!とりあえず、うんこ!!
