
第1回 死に際のハッピークリスマス
2006年12月16日、土曜日。
クリスマスはもう目と鼻の先。
街はどこか浮き足立ったムードを湛え、その中を歩く僕は死にたい気持ちを懸命に堪えながら目的地へと足早に歩を進め続けていたのでした……。
僕、ロバート・コペンハーゲンがハムレットよろしく「生きるべきか、死ぬべきか……やっぱり死ぬべき」と、死ぬほど思い悩みながら黙々と向かっていたのは、いろんな新幹線が停まることでもお馴染みのアジア随一の巨大ターミナル・東京駅。
なぜ僕が年の瀬も押し迫るそんな時期に東京駅へとわざわざ実家へ帰るでもなく赴いたのかといえば、それはこの「お米は生きている」のトップページのゴハンの画像をあの有名な赤レンガ造りの駅舎をバックに撮影しようと考えたからだったのです。
待ち合わせの時間はお昼の12時。
東京駅ではとしゆきくんとBro.トシマサくんと合流する予定。
山手線に揺られながら、僕はこれから始まる地獄の撮影ツアーの行く末など知る由もなく、のん気にポッドキャストなど聴いておったそうな……。
まぁ、そんなこんなで、とにかく、僕はなんとか街のクリスマスムードに押し潰されることなく、東京駅に到着し、先に着いていたとしゆきくんと満面の笑みで合流したのですが……!?
上の写真に写るのは、東京駅に颯爽と現れる僕の姿。
あ~あ、やっぱり僕、ニット帽あんまり似合わないなぁ。
いやいや、落ち込んでいる暇などありません。
遅れてやってくるBro.トシマサくんを待つ間、僕らは早速赤レンガの駅舎をバックにゴハンの写真を撮ることにしました。
まずは、炊き立てのゴハンを茶碗に盛って……!?
路上でゴハンを盛るのってなかなか痛快です。
道行く人が毎度毎度「あのゴハン、すっごくおいしそうだなぁ。ムニャムニャ……」という目で見てきますが、もちろんこのゴハンは撮影用のものですから、ご親切に差し出すわけにはいきません。
気にせず黙々と作業を続けます。
ゴハンを盛り終えたら、次はいよいよ撮影です。
下の写真に写るのは、シャッターチャンスを狙うとしゆきくんのうしろ姿。
その背中からは哀愁を感じます。
ちなみに、横断歩道の向こう側の人たちの視線が痛いほど僕らに突き刺さりますが、そんなことはもちろんお構いなし。
文明社会を生きる中ですっかり忘れてしまっていた野生の勘を取り戻そうとするかのように、獲物を狙うジャッカルと同じ鋭い視線で、としゆきくんはゴハンを次々と撮影していきます。
その甲斐あって、こんな素敵な写真が撮れました。
結局立って撮りました。
撮影後、撮影に使用したゴハンはもちろんおいしくいただきました。
下の写真に写るのは、一口目を食べるタイミングを窺うとしゆきくんの正面の姿。
その箸を握る手からは若干の躊躇いを感じます。
しかし、その数秒後には……!?
ここぞとばかりにがっつりゴハンを喰らうとしゆきくんの姿が。
そしてその隣りには、僕らとは全く関係のない親子の見事なバックショット。
真ん中のラッパを吹く天使の存在が、この写真のシュールな世界観を一層際立たせます。
ちなみにその時僕は、彼のその勇姿を少し遠くから見守っていました。
真ん中にいるのが、僕の位置から見たここぞとばかりにがっつりゴハンを喰らうとしゆきくんです。
小さいです。
数分後、僕が彼の元へと駆け寄ると……!?
ゴハンはすでに一粒残らず平らげられていました。
ごちそうさまでした。
これにて東京駅での撮影は終了です。
***
……と、なんとここでBro.トシマサくんが東京駅に登場!!!
東京駅での撮影はすべて終了し、次は東京タワーへ向かおうと考えていた矢先の登場に、お互いなんだか申し訳ない感じになってしまい、とりあえず東京駅周辺の某牛丼チェーンで少し遅めの昼食を3人でとることに。
カウンターを囲み無言でゴハンをかき込むお客さんの姿は、どこか都会の悲哀を感じさせます。
昼食後、すぐに僕らは東京タワーの最寄り駅であるJR山手線の浜松町へと向かいました。
そして、そこではなんと全く予想もしなかった「あるもの」が僕らを出迎えてくれたのです。
浜松町の駅のホームで僕らを出迎えてくれたのは、なんと……!?
クリスマス仕様の浜松町名物・小便小僧でした。
ちなみに写真に写っているのは、凄まじい勢いで定期的に放尿を繰り返す小便小僧とその尿を茶碗で受け止める僕の姿です。
あ~あ、やっぱり僕、ニット帽あんまり似合わないなぁ。
そんなこんなで、僕らは東京タワーへ向かいました。
どの辺りから撮影するのが一番いいのか皆目見当がつかず、小一時間彷徨い歩いた挙句に僕らが訪れたのは、テレビドラマのロケ地としてよく使われる東京タワーに向かって真っ直ぐ伸びるイチョウ並木のある公園でした。
そこでは案の定ドラマの撮影が行われていて、「あの俳優は誰だ!?」と僕ら3人は談笑しながらその公園を歩きました。
よくよく見てみると、大人気テレビドラマ『ウォーターボーイズ2』や『セーラー服と機関銃』でお馴染みの中尾明慶くんがブランコに座って相手役の女の子(確認できず…)と何かやりとりをするシーンを撮影しているところではありませんか!!!
ホンモノの芸能人を目の前にして、僕らのテンションは鰻のぼりです。
しかし……!?
中尾くんはカメラが回っていない間、電子ジャーを抱えて談笑しながら歩く僕ら3人を眼光鋭く睨みつけ、終始顔を強張らせていました。
テレビで見せる姿とは全く違った一面です。
いつもの笑顔はどこへやら、『3年B組金八先生』に出ていた頃の中尾くんからは想像もつかないような「仕事をする男」の顔になっている彼を目の当たりにした僕らは、なんかちょっとビビッてしまいました。
中尾くんが学年でいうと僕らの2つ下であることを知ったのはその後のことです。
中尾くん、なんか邪魔しちゃったみたいでごめんなさい。
今度会う時は笑顔で僕と握手だ(握手してください)!
ちなみに、中尾くんにビビりながらも懸命に撮影した写真はこんな感じです。
もう暗くてよくわかりません!
ここでももちろん撮影後、撮影に使用したゴハンはおいしくいただきました。
もうやることなくなってきたなぁ……。
帰ろうかなぁ……。
その日予定していた撮影は全て終了し、3人ともそんな空気になってしまった、その時でした!
Bro.トシマサ「……あ、あれを見てくれ!!!」
としゆき&僕「Bro.トシマサくん、一体どうした!?」
一同「……か、かっこいい!!!」
ビルの窓拭きをするために屋上からぶら下がる6人の男たち。
Bro.トシマサくんの指差す先には、命がけでビルを守る(ビルの美しさを保つ)勇敢なる戦士たちの姿があったのです。
僕らは彼らの姿に見とれたまま、その場に立ち尽くしてしまいました。
***
寒い寒い12月の風が僕らの間を通り抜け、ふと我に返ると、辺りはすっかり暗くなっていました。
そして、「2006年も結局ダメなままだったなぁ……」なんてことを考えながら、僕は少しだけため息をつきました。
世間はクリスマス。
男3人で何やってんだろう?
2006年も終わる。
僕は結局何ができたんだろう?
「……今日はもう帰ろう」
誰からともなく口に出されたその言葉を合図に、僕らはまた歩き始めました。
足早に、そして、逃げるように……。
***
で、結局表参道ヒルズにも寄ってみたという、全くもって支離滅裂な、それでいて精神的にすごくハードな、2006年の暮れの1日でした!
……え、オチがない?
終わらせ方が無理矢理?
いや、もう終わりです、終わり!
誰が何と言おうとこのコラムは終わり!
終了です、終了でーす!
おわり
***
ごめんなさい。
ちょっとだけ続けます。
けど、やっぱりオチはないです。
***
僕が今回の旅(撮影ツアー)を通して学んだこと。
それは……何もありません。
何もありませんが、どうせまた旅に出ます。
今度の旅では、旅先で知り合った子どもたちと一緒にサッカーをするつもりです。
サッカーが特別好きなわけではないけれど、なんかそういうのってすごくカッコいいんじゃないかな、なんて思うからです。
そんなわけで、ただいま次の旅で僕と一緒にサッカーをしてくれる子どもたちを大募集中です。
よい子のみんな、遠慮せずに僕と一緒にサッカーをしよう!
……え、何?
オフサイドってどういう意味かって?
知らねえよ!
セルジオ越後に訊け!
(ほんとに)おわり
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