ライター:チンタ=ポンタ
あえて、誰でも知ってるようなことを紹介したい。でも、誰にも知られずに終わって しまう可哀想なものも紹介してあげたい。だから、目にとまったものを適当に紹介し ます。
第36回 重力レンズを紹介します。

光が曲がる。
光が曲がるだと!?
光というものはまっすぐ進むものだとばかり思っていた。
もう、単純に馬鹿みたいに一途にずーっとまっすぐ進むものだと思っていた。
それで、何かにぶつかると吸収されたり反射したりオフィスの外で一服したりするものだと。
そして、何が禁煙ブームだよ!、とか文句たらしながらふと空を見上げると空が異常に蒼く思えたりして。
自分の吐き出す煙が蛇行しながら天を目指すのを目で追いながら、たまには遠回りも悪くないか。
そんなことを思ったのかどうかは分からないが、光は曲がることもある。

恒星や銀河の発する光が、進路の途中にある天体の重力の影響で曲がることがままある。
うちの子に限ってそんなことはありえない。
そう思いたい気持ちは分かるのだが、思春期の子供が何をしでかすかは、神様にも分からない。
特にその繊細で敏感で傷つき易い彼らの心が揺れているときには。
そして、そんな時に、よりにもよってそのタイミングで出会ってしまう強烈に好奇心をそそるもののせいで、まったく予想だにしない方向へと動いてしまう。
運よくそれがタバコだった。
もし、あの時出会ったものがクスリだったら。
そう思うと背筋に冷たいもの(アイスティー)を感じる。
煙は目で追えるギリギリの高さから空気と同化してしまう。
あの頃からずっと吸っているタバコ。
そろそろ、止めようかな。
ため息とも言わず、深く息を吐き出してみた。
煙が輪を描いて漂って、少して消えてしまった。

重力で曲げられた光が複数の経路を通過して集まったときに明るく見える現象を重力レンズという。
光源と重力源の位置関係によって、複数の像がみえたり、変形した像が見えたりする。
この変形で、像がリング状になったものをアインシュタインリングという。
主に強い影響を受けたときにこのリングは見られる。
あの頃はどう頑張っても煙でワッカなんて作れなかったのに。
禁煙は明日から始めよう。
そう思いながら、タバコの火を消し、オフィスに戻るのであった。

以上。