ライター:チンタ=ポンタ
あえて、誰でも知ってるようなことを紹介したい。でも、誰にも知られずに終わって しまう可哀想なものも紹介してあげたい。だから、目にとまったものを適当に紹介し ます。
第26回 ペドロ1世を紹介します。

ペドロ1世はポルトガルの国王だ。
14世紀の中ごろに、父アフォンソ4世の死去をうけて即位した。
彼には2つのあだ名がある。
「正義王」と「残酷王」だ。
「正義王」というのは意味だけを考えれば、ムチャクチャかっちょいい。
なんか、この世に正義を体現するために生まれてきましたよ。
俺様がやることはいちいち全部正しいですよ。
だから皆、俺に任せなさい。
って感じで男らしい。
意味だけを考えれば。

現地の言葉ではどういう風に言われるのかは知らないが、日本語の「正義王」はちょっと。
正直ダサい。
クラスで「正義王」なんてあだ名をつけられた日にゃ、もう学校にいけない。
大声で遠くから「お~い。正義王!」と呼びかけられてみろ。
顔を真っ赤にして俯いたまま知らん振りする以外に道は無い。
どんな経緯でこのあだ名が付けられようとも、恥ずかしいったりゃありゃしない。
大体この手のあだ名は、ガリ勉や仕切り魔が馬鹿にされて付けられる類のものだ。
しかし、仮に本当に敬意を込めてそう呼ばれたとしても、決まりが悪い。
本気で心の底から「正義王」と呼ばれてしまったら、もう受け入れざるを得ないではないか。
どちらにしろタチが悪い。

「残酷王」は真逆だ。
意味は最低だが、なんか響きがしっくりきている。
ものすごく悪いやつにこのあだ名がついたら、納得してしまいそうだ。

ペドロ1世はその美しさから「しらさぎの首」と謳われたイネス・デ・カストロとの悲恋で知られる。
彼女は2番目の妻コンスタンサ・マリアの侍女であった。
2人は恋に落ちるが、父親によって引き裂かれる。
コンスタンサの死後は2人の仲が公然化するが、父と重臣たちにより、イネスは暗殺される。
ペドロ1世は彼女の死後も思い続け、王に即位後、彼女を王妃として認めさせた。
その後、暗殺に関った貴族を身分に拘わらず残酷に殺害した。
まさに「残酷王」だ。

そして、こいつの甥もペドロ1世でカスティーリャの王なのだ。
この甥のほうのペドロ1世にもあだ名がついている。
「正義王」と「残酷王」だ。
一緒じゃん。

以上。