ライター:チンタ=ポンタ
あえて、誰でも知ってるようなことを紹介したい。でも、誰にも知られずに終わって しまう可哀想なものも紹介してあげたい。だから、目にとまったものを適当に紹介し ます。

第17回 タケノコを紹介します。 


タケノコの季節がやってきた。
所謂、旬というやつだ。
この「旬」という漢字には、10日間という意味がある。
竹ってやつは成長が早く、タケノコとして食べられる時期は短い。
だからタケノコを表す漢字「筍」は、竹冠に「旬」の字を組み合わせてできている。
つまり、生まれて10日以内の竹が筍なのだ。

何を隠そう、私が今一番好きな食材がこのタケノコなのである。
今というのはここ2~3日のことだが。
この2~3日が1年になるか10年になるか。
それは、タケノコの腕ひとつで決まる。

もちろん、私にもプライドがある。
そう簡単にタケノコに屈するわけにはいかない。
それに、私の様な若輩者には、まだタケノコの本当のおいしさは分からないかもしれない。
しかし、タケノコの力がこんなものではないことくらいは知っている。

かつて、タケノコに手を出して会社を追われた者がいたとかいないとか。
彼には愛する妻に子供が2人。
決して裕福とは言えないが、それなりに幸せであった。
日々の残業にも、家族のためにと、耐えてきた。
日付の変わる頃、くたくたになって帰宅する彼を支えていたのは、どんなに遅とも帰りを待っていてくれるやさしい妻の笑顔と、かわいい子供達の寝顔であった。

そんなある日、仕事熱心な彼にチャンスが舞い込んだ。
彼は重大なプロジェクトを一任されたのだ。
これを成功させれば出世間違いなし。
長年の彼の苦労が今まさに報われようとしていた。

彼のプロジェクトは順調に進み、誰もが彼の出世を確信した。
それは彼自身も例外ではなく、そのことが彼の心にちょっとした油断を生み出していた。
ある日、思いのほか仕事が早く片付いた彼は、一人街へ繰り出した。
普段から気になっていたBarに、やや興奮気味の彼は入っていった。
薄暗い店内は、妖しい雰囲気を醸し出していた。
あるいはこの店のムードが、彼の理性を鈍らせたのかもしれない。
彼はそのBarで女と出会った。

誰一人として幸せにしないこの出会い。
そこにタケノコの悪魔のような囁き。
彼の末路は想像に難くないであろう。

以上。