ライター:チンタ=ポンタ
あえて、誰でも知ってるようなことを紹介したい。でも、誰にも知られずに終わって しまう可哀想なものも紹介してあげたい。だから、目にとまったものを適当に紹介し ます。

第15回 本会議を紹介します。 


先月の末のことだが、私は本会議を傍聴した。

ある日、こんなことを思いついた。
「よし、国会議事堂に行こう。」
そして、そう思うやいなや国会議事堂に着いた。
国会議事堂周辺は警察官がいっぱいだ。

私は緊張していた。
こんなに、警察官の制服を着ている人がいっぱいいる場所は4回目くらいだったからだ。
挙動不審だったのだろう。
国会議事堂の周りを30周ほどした頃、一人の警察官の制服を着た人が話しかけてきた。
「傍聴希望の方ですか?」
私は困ってしまった。
傍聴なんて希望していない。
でも、そんなことを口にしてしまったら、どんなにこの人を傷つけてしまうことか。
この人がどれだけ勇気を振り絞って、私に話しかけてきたのか。
この人がどんな気持ちで警察官の制服を着ているのか。
この人を傷つけてしまったら、私はそのことを一生償っていかなければならない。
そんなのは嫌だ。
私は仕方なく、上着のポケットから一枚の紙を取り出した。
偶然持っていた「傍聴券」だ。

傍聴券には「議員紹介」と書いてある。
紹介してくれた議員の名も。
しかし、私は紹介された覚えがない。
きっと、忘れてしまったのだろう。
いい思い出は、いつもこうだ。

私が傍聴券を見せると国会議事堂の中に通された。
幾人もの警察官らしき人達によるチェックをうけた。
手荷物検査もうけた。
注意事項も聞かされた。
銃器その他危険なものは持ち込めないようだった。
携帯電話も駄目だった。
手荷物のほとんどをロッカーに預けて、ようやく傍聴席に着けた。

傍聴席からは国会議員のいるフロアを見下ろすことができた。
しかし、警察官らしき人が常に見張っていて、まったくはしゃげなかった。
立つことさえ許されなかった。
そのため、死角にいる議員たちの姿を最後まで拝むことはできなかった。
仕方がないので見える位置にいる議員の方々を観察した。

本会議は、あまりにも緊張感なく始まった。
大学の講義よりもひどかった。
議員の方々は皆、やりたい放題だった。
私語、居眠りは当然のこと、席を立ってふらふらしている議員もいた。
学級崩壊さながらの光景だ。

しかし、バラバラに好き勝手していた人々も、採決の時だけ揃っていた。
起立採決だったので、周りが立ち上がるのを見てみんな立っていた。
眠りこけていた議員がそのときだけ慌てて立ち上がる姿は滑稽だった。
こんな人に投票しちゃった人達はどう思っているのだろうか。

最後までしまりのない議会だった。
それでも、ずっとメモを取っている議員やまじめに聞いている議員もいた。
がんばって野次っている人もいた。
何を叫んでいるのかはよく聞こえなかったが。

一番印象に残ったのはスーツの色だ。
女性議員の方々が、実に様々の色のスーツを着ていた。
赤、青、緑、黄色、オレンジ・・・。
とても綺麗な色をしていた。
あんなに映えるスーツが下品に見えるのも場所が場所だからなのだろうか。

私は戦隊ヒーローを思い浮かべていた。
レッドもブルーもイエローもいる。
ただそうなると、ブラックが多すぎて収拾がつかないな。
そんなことを考えながら、国会議事堂を後にした。

以上。