ライター:ロバート・コペンハーゲン
毒にも薬にもならないけれど、読んでみるとなぜだか平常心が保てない、そんな詩とも小説ともコントとも区別がつかない「二度寝してもう少し見ていたい悪夢」のような文章を、毎週懲りずに連載していきます。
第39回 ぼくのゲーム王国


今年一番のビッグニュースである!
落語家でタレントの林家いっ平さん(本名・海老名泰助)が、あの<昭和の爆笑王>と呼ばれた父の名前「林家三平」を襲名するらしいのだ!
「二平」をすっ飛ばし、いきなりの「三平」襲名!
大出世である!
2009年3月の襲名披露興行に向け、さらなる進化を遂げるであろう林家いっ平さんの活躍には、落語ファンならずとも決して目が離せない!

兄である林家正蔵さん(本名・海老名泰孝)の襲名パレードにはどういうわけだか12万人もの見物客が集まったそうだから、今度のいっ平さんの襲名パレードにも相当な数の見物客が集まるであろうことは容易に想像できる。
集計の仕方次第では鳥取県の総人口くらいは目じゃないと僕は勝手に推測しているが、そんなことはさておき、林家いっ平さんのタレントとしての代表作といえば、もちろんこの作品を措いてほかにはないであろう。
その作品とはもちろん……





「ゲーム王国」は1994年4月から1999年9月までテレビ東京系で放送された、知る人ぞ知るテレビゲーム情報番組である。
司会はご存知、江戸家小猫(本名・岡田八郎)
朝7時30分からの放送とあって、主なターゲットは登校前の小中学生であったはずなのに、なぜ小猫さんが司会を担当していたのか?
番組内でその謎が明かされることは遂になかったが、とにかく若かりし日のいっ平さんは毎週毎週小猫さんの傍らにいて、彼の司会進行の下、あまりメジャーではないゲーム会社の社員と共に、あまりメジャーにはなりそうもないゲームソフトを熱心に紹介し続けたのだ。
いっ平さんがゲームに対して一体どれほどの関心を持っていたのかは、当時も今も僕にはよくわからない。
しかし、これだけは言える。

いっ平さんはどんなクソゲーに対してでも
さも興味津々そうな、抜群のリアクションをする!!!


それが証拠に、僕は親にねだって「ゲーム王国」で紹介されたクソゲーを、クソゲーと知らないまま、数本買ってもらってしまった。
「ディノブリーダー」「化石創世リボーン」といったゲームボーイ用ソフトが、まさにそれである。
あれには騙された。
いっ平さんの手にかかると、どんなクソゲーもめちゃくちゃおもしろそうに思えてくるのだ。
あんなにクソつまらないゲームソフトを、あんなにクソおもしろそうに紹介するなんて……まったくもう、いっ平さんは罪な人である。
そして、そんな彼が2009年春、亡き父の名跡「三平」を襲名する。
襲名するとなれば、落語はもちろんのこと、新作ゲーム紹介もますます上達することになるだろう。
そうなると、全国の小中学生のなけなしの小遣いが、どんどんクソゲーに注ぎ込まれることになってしまうという恐れも出てくる…………いいや、そんな恐れは出てこない!!!
一体なにを言い出すんだ、僕は!
いっ平さんはもう新作ゲームの紹介なんかしない!
「ゲーム王国」はとっくの昔に終わったのだ!
いっ平さんはこれからより一層、落語の稽古に精進するだろう!
ゲームなんか紹介している場合じゃないのだ!
ちょうど正蔵さんが「モグモグGOMBO」なんかやってる場合じゃなくなったみたいに!!!

しかしながら、いっ平さんの新作ゲーム紹介を今後一切見られなくなってしまうというのは、やはりいくらなんでも寂しすぎる。
いっ平さんの新作ゲーム紹介は、「三平」の名にも恥じない正真正銘の名人芸。
それをこのまま封印してしまうのは、あまりに惜しいというものである。
落語と新作ゲーム紹介、この二つをうまく両立する手立てはないものなのか…………いや、あるっ!!!













新ジャンル!!!
これっきゃないでしょ、もう!!!


第39回 ぼくのゲーム王国 終