ライター:ロバート・コペンハーゲン
毒にも薬にもならないけれど、読んでみるとなぜだか平常心が保てない、そんな詩とも小説ともコントとも区別がつかない「二度寝してもう少し見ていたい悪夢」のような文章を、毎週懲りずに連載していきます。
第33回 ぼくのセカンドライフ漫遊記




どうも、みんな! お久しぶりでやんす!
ボクの名前は、ペロ沼ケンジ
2度目の登場で浮かれているせいか、冒頭からついつい本音が出てしまったでやんすね。
ボクのいけないクセでやんす。

ところで、みんなは『セカンドライフ』ってオンラインゲーム、知ってるでやんすか?
様々な企業が広告を出しているでやんすとか、海外では政治家が演説会を開いたでやんすとか、何かと話題になっているこのセカンドライフというゲームには、特に決まった遊び方がないらしく、その仮想空間内で<アバター>と呼ばれる人型のキャラクターを動かして自由気ままにチャットをしたり、買い物をしたり……その楽しみ方は無限大という触れ込みでやんすけども、実際のところはどうなんでやんすかね?
すっごく気になるでやんす。

セカンドライフの最大の特徴と言われているのは、ゲーム内で稼いだ仮想通貨を現実の通貨に換金できるという点でやんして、実際に日本円にして1億円相当の資産を持つ人まで登場したということでやんすからスゴいでやんすねぇ。
ボクもぜひともセカンドライフで大儲けして、老後の不安を解消したいところでやんす。

とまあ、そんなわけで、実際にセカンドライフをやってみることにしたでやんす。
諸々の登録やインストールを済ませ、いざセカンドライフの世界へ!
操作方法もおぼつかない中、まずは自分の「分身」であるアバターのデザインを決めなくてはならない様子。
身長から上唇と下唇の厚さの比率まで、なんでも細かく設定できて凝り始めると大変でやんすけども、このアバターの出来次第でセカンドライフに対するモチベーションも大きく変わってくるに違いないでやんすから、納得のいくまで粘りに粘りたいところでやんす。






……完成でやんす!!!
森の妖精のイメージを基調にしつつも、ファンタジックになりすぎず、ダンディズムをも持ち合わせるという最強のデザイン。




強い意志を感じさせる太い眉、愛くるしい瞳、紳士的なチョビ髭……。
どこをとっても完璧でやんす。
満足のいく仕上がりに気をよくしたボクは、早速セカンドライフ内の世界各地へテレポート。
しかしながら、ほとんどの場所には人っ子ひとりいない状態
いたとしても外国の人ばかりで、全然チャットも楽しめないでやんす。
「大儲けは夢のまた夢か……」と諦めかけた頃、やっと見つけた日本人のたくさん集まるビーチで、ボクはいろんな人に積極的に商談を持ちかけることにしたんでやんすが……




美女と仲良く語らおうにも、完全に無視!!!
「Hello!」なんて調子よく話しかけたところで、誰も相手にしてくれないでやんす!
会話に応じてくれたところで、「そのアバター、どうにかならない?」なんて失礼な言葉が飛び交って、ビジネスの話なんて到底できないでやんすよ!
そんなこんなで、ボクは気分を害しっぱなし。
気分転換にと思い、各地に点在するお風呂みたいなところに適当に浸かってみたでやんすが……




なんにもおもしろくないでやんす!!!
なんじゃこりゃ!
単なる「ごっこ遊び」にすぎないでやんすよ、こんなもの!
怒り狂ったボクは人がたくさん集まっているバーに乗り込み、手当たり次第に話しかけてみるも、「うわ! ヘンなの来た!」と一蹴されるばかり。
怒りを通り越して、だんだんと哀しい気持ちになってきたボクは、月夜をバックに……




(テーブルの上のミキサーに座り込んで)2度と口を開かなかったでやんすとさ!
あーあ、めでたしめでたし!
アンインストール、アンインストール!

 

第33回 ぼくのセカンドライフ漫遊記 終