ライター:ロバート・コペンハーゲン
毒にも薬にもならないけれど、読んでみるとなぜだか平常心が保てない、そんな詩とも小説ともコントとも区別がつかない「二度寝してもう少し見ていたい悪夢」のような文章を、毎週懲りずに連載していきます。

第6回 少年のフキダシにぼく ‐その2‐


前回のコラムの中で僕は、「名刺作り」を趣味としている人の中には3種類のタイプの人がいる、ということを書きました。
その3種類のタイプ、ここでちょっとおさらいしてみることにしましょう。

① 自分の名刺を作る人
② 他人の名刺を作る人
③ 名刺を作らない人

みなさんご存知の通り、僕は今現在、②のタイプの典型的な「他人の名刺を作る人」なわけですが、なにも「名刺作り」を始めた当初からずっと他人の名刺だけを作り続けてきたわけではありません。
もともと僕は、「名刺作り」を趣味とする人の中でも最もスタンダードな①のタイプの典型的な「自分の名刺を作る人」だったのです。

自分の名刺を作っていた頃の僕は、他人の名刺を作ることに対しての興味など微塵も持ってはいませんでしたし、むしろ他人の名刺を作るタイプの人たちのことを、恥ずかしながら、特に理由もなく軽蔑していたというのが正直なところです。
しかし、今僕は実際に、他人の名刺を作っています。
僕がかつて蔑み、忌み嫌っていた「他人の名刺を作る人」になったのには、もちろんそれなりのきっかけがありました。
僕が「他人の名刺を作る人」に転向することになったそれなりのきっかけは、「それなりの」とは言っても、ほんの些細な、取るに足らないようなことであって……それは僕が今コンタクトレンズを装着するのではなくて、あえてメガネをかけ続けることになったきっかけとも共通しているのですが、そんな話をして、読者のみなさんに共感してもらえるかどうかは、僕にはちょっとよくわかりません。
わかりませんが、共感してもらえなくたって、そんなことは一向に構いません。

だから、僕はとにかく、書いてみようと思います。
僕がメガネをかけ続けることになったきっかけと、僕が「他人の名刺を作る人」になったきっかけの話を。

 

 


***

 

 


視力が悪くなってきて、メガネをかけたりかけなかったりしていた高校生の頃の僕に、当時好きだった女の子がこう言いました。



「メガネの方が絶対いいよ!」



いや、あの、ただそれだけのことなのです、僕がメガネをかけ続けることになったきっかけなんて。

他人の名刺を作るようになったのも、似たようなことがきっかけです。



「うわー、この名刺自分でつくったの? 今度わたしのも作ってよ!」



「実際にヤマグチさんの名刺を作って学校に持っていったりするべきなんかじゃない、絶対!」と中学生の頃の自分に教えてあげることができたら……なんて、今でもふと考えてしまってなかなか寝つけない夜があります。
ちなみに、「そもそも学校で自作の名刺を配る俺って一体なんなんだ?」と考えてしまうと、急にあてもなく走り出したい衝動に駆られてどうにもできなくなってしまうので、なるべく考えないようにはしています。

とにかく僕が言いたいのは、今の自分を形作るあらゆることのきっかけは、ほとんどそんなもんなんじゃないかな、なんて思ったりすることがあるってことです。

なにげない誰かの一言がちょっとずつ誰かの生き方を方向づけているなんていうことに、普段は全然気づきません。
でも、あなたの発する一言が僕の生き方をちょっとずつ変えて、僕の発する一言があなたの生き方をちょっとずつ変えていくということ。
それは紛れもない事実で……うまく書けませんが、そんな程度のきっかけで、ほとんど節操なく変わり続けていくことって、僕はそんなに悪いことじゃないなって感じることがあるのです。

ただそれだけです。

 

 


***

 

 


そんなこんなで、今回も僕が作った赤の他人の名刺を次々と紹介していくことにしましょう。
今週は先週予告しておいた映画『ショーシャンクの空に』や『ミリオンダラー・ベイビー』でおなじみのこの人から、なんと怒涛の5連発(ちなみに今回のコラム、名刺を5連発紹介し終えると唐突に終わる構成になっています。あらかじめ心の準備をお願いします)。

それでは、いってみましょう。




ものすごい包容力です。
もう抱かれてもいいです。
いや、ダメです、絶対ダメです。
ものすごい包容力だからってカラダを許しちゃいけません。

そういえば、包容力ならこの人だって負けちゃいません。




とてもつよい横綱です。
不思議なくらいつよいです。
そのつよさの秘密を包み隠さず教えてほしいものです。

包み隠さず教えてほしいといったら、この人もぜひそうしてほしいものです。




実際どうなの?
いろいろな憶測は飛び交っていましたが、もしも本当にデスノートの原作者である大場つぐみが、『とっても!ラッキーマン』などのギャグ漫画でかつて人気を誇った彼なのだとしたら……。

これにはもう、「再チャレンジ」の持ちギャグでおなじみのあの人が黙っているわけがありません。




完全に前回からの使いまわしです。
失礼しました。

さあ、気を取り直して次の新しい名刺の紹介です。


……ん、あれ?




さあ?




さあ。


さあ。


さぁ。


さー。


サー。


サー。






サーッ!!!





 

 
 

 

 

第6回 少年のフキダシにぼく ‐その2‐ 終