ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第53話 プロジェクトS-その49-

「ねえ、あたしがチョコ作ってあげよっか?」


深谷さんのセリフは、あまりに衝撃的なものでした。

「え・・・?」

昭弘くんも徹くんも、この急すぎるパスに、全くリアクションできません。


「ちょっと!勘違いせんでよ!別に私あんたらのことが好きって言っとるわけじゃないんだからね。」

「と、言いますと?」

「いや、私も、なんつーの、作ってみること自体には興味あるからさ、食べたいんなら作ってあげてもいいかなーって思っただけよ。」

深谷さんはちょっと焦りながらそうまくしたてました。

「ああー、そういうことでしたか。」

徹くんが言いました。でもなんとなく深谷さんのいうことに納得したというより、混乱している感じです。それは昭弘くんも同じでした。なんなんだ深谷さんこのうだうだな申し出は。

「なにい、つまり、義理チョコを作ってあげようかってことか?」


「そうそう!そういうこと!」

「ほら、私も、一応女の子でしょ、ねえ、チョコくらい作ってもいいじゃないの!」


なんだなんだ・・・。

なんかいつもの深谷さんなら
「チョコなんて作るくらいならこっちがもらいたいくらいだわ。」
と名古屋弁でのたまうようなキャラなのですが、思わぬ乙女な申し出に、徹くんも昭弘くんも思わず、

「それなら是非お願いします。」

と、妙に馬鹿丁寧にチョコを受け取ることを承諾したのでした。


「まじで!そんじゃあ、月曜日楽しみにしとりゃあ!」

深谷さんはまたも乙女な反応で二人に笑いかけます。



その日は結局、図らずも深谷さんにチョコは確約できたものの、結局牧田さんには話せずじまいでした。

そんな帰り道、二人はとぼとぼと家路を歩いていました。


「なあ。今日の深谷さんはなんだったろうな?」

「さあ?いったいどうしたんだろうな。」

「俺らにチョコあげようってのもおかしな話だよな。」

「そうだよな・・・。」

「謎だ・・・。」

「謎だな。」

「深谷さんは俺たちのことが好きなのかなあ・・・?」

昭弘くんが言いました。しかし、深谷さんはたまにしゃべるものの、そんなに親しいわけではありません。そんなことはなさそうです。

「まあ、分からん。しかし、まあ、これで牧田さんにもらえなかったとしても、一つは確実なんだからいいんじゃないのか?」

「そうっちゃそうなんだけどさ。」

「だろ?」

「でも俺は牧田さんからもらいたいよ。」

「・・・・。」

「・・・・。」

二人はそのまま黙って歩きました。

「ん・・・、そういや深谷さんって何部だったっけ?」

「深谷さんは・・・、あ・・・。」

「バレー部だよ。」


そう。深谷さんは牧田さんと同じバレー部でした。


「そんで明日は土曜で部活があるから・・・。」

「二人会うがや・・・。」


どうなっていくのか・・・。


つづく。