ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第49話 プロジェクトS-その45-

さて。忘年会シーズンを前に少しでもお話を進めておきます。

前にも言ったとおり、12日13日の土日は学校はお休みでした。
そんなわけで前回のラストから次の日の11日の金曜日は、最後のアピールポイントだと言えました。まあ、アピールっつったところで一体何をアピールするのか本人たちもよく分かっていなかったわけですけども。今から思えば、昭弘くんの場合アピールすればするほどもらえない可能性ばかりがうなぎのぼりになることは容易に予想がつきます。しかし、当時はアホで、なおかつ必死でした。

「徹くん。徹くん。」

昭弘くんはその日の登校中に、徹くんを見つけると擦り寄っていきます。

「あ、おはよう。なんだ?」

「いや、ほら、バレンタインが来週の月曜じゃんかよ。ほんだで、今日にさ、なんとかこう、より確実にチョコがもらえるようななんつーか対策というかをさ、なんかこう考えて欲しいんだけどさ。」

「対策ってお前、ほとんどもらえることは確実だろうがよ。」

「いやいや、牧田さんはまじめだからさ、学校にチョコとか持ってこないとか、もしくは俺が甘いもん嫌いとか勝手に勘違いしとるかもしれんが。俺マーボー豆腐好きとかいっとるしさ。」

「マーボー豆腐は関係ねえて。仮にそういう理由でもらえんくても、何も問題ないが。だって今みたいな理由だったらば別に牧田さんはお前のことが好きでないからあげないとかそういうわけではないわけだし。」

「いや、でもさ・・・。」

「・・・、っていうか昭弘はとりあえず欲しいわけだな。分かった分かった。」

「・・・・。」

昭弘くん、さすがに面と向かって言われちゃうとちょっと恥ずかしかったみたいですね。

「まあ、でもやっぱ欲しいわな。俺も欲しいもんなあ。俺なんか小学校5年生以来もらっとらんわ。」
「え、徹、まじで?」

「そうだよ。小学校5年生のときに、同じクラスの女の子にもらったわ。懐かしい。」

「えー、その子今どうしとるの?」

「いやー知らん。中学上がってからクラス違ったし、今や名古屋と知多だでなあ。会えるわけもないわ。」

そう。かなり前に述べたように、徹くんは名古屋市内の中学校からこの夏にここ知多市に引っ越してきたのでした。名古屋市と知多市は電車で30分くらいで行けたのですが、往復に1500円くらい取られるので、中学生のすずめの涙のような小遣いではほとんど行き来はできません。

「ほーか。その子は可愛かったか?」

「いやいや、話はお前の対策だろ。」

あら残念。

「とりあえずさ、俺はチョコを欲しているということを言えば良いのかね。」

「それってそのままじゃねえかよ。」

「・・・。」

「それよりは、女の子としては昭弘がチョコがあんまり好きでないかもしれないとか、そういうことを考えちゃうんじゃねえか?」

「なるほど。」

「だからとりあえず、甘いもん好きだということを言ってよ、あとは「連休だから久々に俺も料理の一つでもしようかなあ」、とか言って女の子の作りたい精神を刺激してやればいいんじゃねえか?」

「ほほう!いいなそれ!」

「ふふふ。」

「どうせならお前もやろうぜ。お前だって欲しいんだろ?不特定多数の女子に聞こえるようにやれば、お前にもくれるやつが現れるかもしれん。」

「ほー。昭弘頭良いな。そうしようそうしよう。俺も久々に青春だ。」


という訳で二人はニヤニヤしながら学校に向かうことになりました。

しかし徹くん。学年でもトップクラスの成績なのに、よりによって昭弘くんに「頭良いな」などと言ってしまうようではまだまだですね。



そんなわけで今回はこのあたりに。今年もあと一話・・・。