ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第48話 プロジェクトS-その44-

さて。では前回言いましたとおり、お話はとびます。

2月10日。
次の週の頭にバレンタインデーを控えて、さらに近々にテストを控えて、東部中学校の生徒たちはにわかに浮き足立っていました。

「むふふふ。おはよう。ハラマサくん」

まあ言うまでもなくそんな中一番浮き足立っていたのが昭弘くんだったのですが。どうにかならんのですかねこいつ。


「あ。おお。昭弘。おはよ。」

ハラマサくんもよくぞこんな男と仲良くしてくれたものです。この年になると友人のありがたみっていうのはしみじみ感じますね。

「いやあ、寒くなってきたね。」

「まあな。」

「お前テスト勉強しとるか?」

「まあ、ぼちぼち。」

「ほーか、昭弘はなんかよく分からんけど50番くらいはいくからなあ。」

「50番台からはなかなか上がらんけどな。」

「俺もなんとかそれくらいまでは上がらんとなあ。」

リアルな会話ですね。

今はどうか分からんのですけど、当時は定期テストは全て順位が出ました。高校になると順位よりも全国的な偏差値で成績を見たりしますけど、模試なんてしらない田舎中学生一年生たちはとりあえず校内の順位を見ながらあいつに勝ったとか負けたとかいうことを話していたのでした。いやあ、狭い世界ですよね。

「最近も調子よさそうだな。」
ハラマサくんが昭弘くんに話しかけます。
なんの調子かといえば、まあ答えは一つなんですけどね。

「そうか~、まあ、ぼちぼちだよ。一応しゃべってはいるよ。」

「そうか。そしたら、今度のバレンタインは期待できるんじゃないの?」

「いやあ、どうかなあ!?うふふふ。」


昭弘くん照れすぎです。

しかし今年はみんな期待をしていました。東部中学校は一応校則でお菓子の類、つまりチョコなどは持ってきてはいけなかったのですが、実際問題、教師もこの日だけは見てみぬフリだ、というのは話に聞いておりましたし、それに今度のバレンタインデーは休日を挟んでいるのでチョコを作るのには大変に好都合なんですよね。
なので男子たちも表立って口にはださないものの
「今年は来る!いや、何せこの日程、しかも中学生になったんだから、告白の一度や二度あったっていい!今年は来る!」などととりあえず未勝利戦で「ダートに替えて変わり身期待」のようなコメントをする調教師のような、やや根拠のあるようで実際は希望的観測じゃねえかみたいなことを思っているのでした。


「牧田さんはチョコとか作るのだろうかね。」

ハラマサくんが言いました。

「あのタイプは作ってるよ。」
昭弘くんは力強く言いました。

「なんでえ?」


「だって大人しい娘の趣味はお菓子とかが多いだろ。あとピアノ。」


「・・・・。」


いや、ほんと、馬鹿ですね。



とにかく、そんなこんなで二人はちょっと淡い期待を抱きながら学校へと向かうのでした。


学校に着いて、用具を鞄から机へと移し変えながら、いくら浮き足立っている昭弘くんと言えどもやっぱりちょっとクラスの雰囲気がいつもと違うよなあ、などと思うのでした。そういう昭弘くんも女子が集まっているのを見ただけで
「も・もしや、チョコを誰にあげるかなどということを話しているのかッ!」
などと思い、どぎまぎしていたのですが。

かわいいというのか、あほというのか、

なんというか、全然ピュアーじゃなさすぎてかえってピュアーというか、そんな感じですかね。


まあ、そんな雰囲気で話は進みます。




次回へつづく・・・