ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第44話 プロジェクトS-その40-

どうも。鈴木です。
さて。もう秋も深まりまして、今日からは11月。いやはやもう今年もおしまいまですぐですよ。ってことはもうすぐ当サイト「お米は生きている」ももう一年なわけですね。すごいすごい!コラムの数も、一人が40作づつ書いたと計算しても200もあるわけですねえ。継続は力なり、ですよ。僕に関してはあんまり力にはなってない気がしますけど。


さて、ではお話に。

牧田さんにCDを貸す約束を取り付けてきた昭弘くん。喜びながら家に着きました。


「ただいま~」
上機嫌でただいまを言う昭弘くん。


「おかえり。」
それに答えるお母さん。昭弘くんの家は兄弟四人なので、晩御飯の支度で忙しそうです。


そんなお母さんの脇をすり抜けて、昭弘くんは二階にある自分の部屋に向かいました。

「さあ~て、どのCDにしよっかな~?」
昭弘くん、制服も脱がずにいきなりCDケースの前に腰を下ろします。

そのときでした。

「お兄ちゃん。お母さんが呼んでる。」
いきなり昭弘くんの弟が昭弘くんのもとに来てこう言いました。


「ええ~?なんで?」

「知らん。」

弟くんは答えます。ちなみに、「知らん」というのはこの地方ではお年寄りとか頑固親父以外にも、女の子から小さいお子様まで幅広く普段から使います。決してぶっきらぼうに言っているわけではありません。


晩ごはんどきというのは、例外なく昭弘くんのお母さんは機嫌が悪いのです。なので弟の「お兄ちゃん。お母さんが呼んでる。」という言葉はなるべく聞きたくない言葉でした。


「なにい?」

昭弘くんは階下の台所にいるお母さんのところに向かって言いました。もちろん発音は名古屋弁なので「おじい」の発音と同じアクセントです。前にも言いましたが。



「あんた、最近学校から帰ってくると変にウキウキした顔しとるけどなんかあったの?」



げげ!


昭弘くん、これにはびっくりしました。

まあ、母親とはなんとよく息子のことを見ているのでしょう。

よくあるでしょう?きっとこれをお読みのあなたも、好きな人ができた途端に「あんたいい人おらんの?」とか「好きな人できたでしょ?」などと言われたことの一度や二度くらいは。(あんたいい人おらんの?=あなたにもいい人はいないの?いるんでしょ?という感じの言葉です。ちなみにこの「あんた」は東京のちめい「神田」と同じ発音になります。名古屋弁っつーのは難しいですね。)


「別にいつもと変わらんが。」
昭弘くん答えます。


「そーお?なんかいつもここんとこニヤニヤして。なんかいいことでもあったの?」



「別に何でもねーて。」
昭弘くん。年頃の中学生らしい反応です。しかし、なんか親に反抗するにしても方言で言うと、なんかかわいらしいですよね。標準語で「別に何でもねーよ。」とか言われたらぶん殴りたくなりますけど。やっぱり方言って言葉をやわらかくするもんなんですかね?


「そう?ならええけど。あんま変なことしとってかんよ。」
お母さんは怒るでもなく、少し心配した様子で言いました。



「変なことなんかしとらんて!」
昭弘くんは声を荒げ、言いました。


「わざわざ呼んどいてそんだけなら部屋戻るよ。メシできたらまた呼んで。」
しかし昭弘くんはお母さんの忠告に耳も貸さず、またずいずいと二階へと上がってしまったのです。うーん書いてて恥ずかしくなるような反抗期中学生の行動ですね。



「まったく!お袋はいつも人のいい気分をぶっ壊してばっかだでかん!」
昭弘くんはそう言って布団に倒れこみました。






何故お母さんにこんなことを言われたのか。お母さんは昭弘くんの何を心配していたのか。ウキウキした自分が周りの目にはどのように映っているのか、などということをゆっくりと考えることのできる余裕というものを昭弘くんが持ち合わせるのは、まだまだ先のことなのでした。


そう、昭弘くんは、まだまだ中学生でした。



次回へつづく・・・