ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第34話 プロジェクトS-その30-

ども。鈴木です。
夏休みになって曜日の間隔が無くなり、あわやのとこで原稿落としそうになりました。あぶないあぶない。

さて、では続きをいきます。




「ああ、そうだよね、やっぱそうだよね・・・。」


「うん・・・?」


「・・・・・。」


「・・・・・。」






お、終わり!?



なんということでしょう。昭弘くん、あれほどみんなで「鉄板だ」と言っていたネタをあっさりと終わらせてしまいました。

大体、話の始め方がすげえ不自然でしょうあれ。あんなの漫画ですよ漫画。見ているこっちが恥ずかしくなりますよね。ほんと、ハラマサくんや徹くんの苦労とかそういうものをなんと心得ておるのでしょうか。


「・・・・。」


「・・・・。」


再び続く沈黙。


やっちゃった・・・・。俺、もうだめだ・・・・。

昭弘くんはその場に立ち尽くしながら思いました。

その様子を見ていたハラマサ・徹くんの二人も思いは同じでした。
そして、

「終わった・・・。」

と、ハラマサくんが小さく呻いたそのときでした。


奇跡は起こったのです。



「そういえば鈴木くん、今ので思い出したけど、料理、上手だったよね。」



「へっ!?」

なんということでしょう。突如牧田さんから思いもよらぬ返しが!!


「嘘!?」
あのわりと冷静な徹くんまでびっくりです。


これを逃したら昭弘くんはもう駄目人間の烙印決定です。

さすがに昭弘くんもこの思わぬチャンスにびびりながらもなんとか物にしようと必死に返します。
もっとも、牧田さんの返してきた話題があまりに突飛なので、返さざるを得ないといえばいえないのですが。

「え?料理って、牧田さん俺が料理してんの見たことあるの?」

「なんか前に調理実習したでしょ?そんときに、鈴木くん魚三枚に下ろしたり、卵かき混ぜたりするのすごく上手かったじゃん。」

「あ、ああ、まあ結構家で手伝ったりするし・・・。」

そう、確かに昭弘くんは並みの中学生よりも料理はできるほうでした。もともと弟が三人もいるという環境で育ったためか料理の手伝いなどをよくし、かつ、昭弘くんもこうしたことに興味があったので、自分から暇な昼時などに料理をして食べたりしていたのでした。
当然料理の腕は上がり前述の牧田さんの発言のような技能はちょちょいのちょいだったのです。
ちなみに、この料理の特技は大学生になってからさらにエスカレートし、数万円払って圧力鍋を購入し、ハナマサで大量買いした肉塊などを、むやみに柔らかくしてスープを作ったりという若干おかしな方向性に動きつつあるのでした。

で、話は牧田さんです。


「なんか、今、急にマーボー豆腐の味の話なんかするから、何か味付けとかにも凝ってんのかな、とか思って。」

「いや、別にそういうわけでもないけど、でももう少し豆板醤みたいなの加えてもいいと思うんだけどね。コストがかかるならラー油増やすとかさ。」

「あー、なるほどね~。私マーボーよりむしろクリームシチューかな、コンソメもう少し効かせて欲しいのよね。固形の安いやつでいいから。」

「ああ。それ分かる!なんか物足りないし、パンのおかずなんだからそのほうがいいと思う。ってか牧田さん料理詳しいね。」

「まあ、お姉ちゃんが最近凝ってて最近少し知識がついた、みたいな感じで。」

「へえ、なんか作ったりするの?」

「こないだは、タイカレー作ったよ。」

「タイカレーって魚の鯛のカレー?」

今でこそエスニックブームでタイカレーといえばポピュラーですが、当時田舎ではタイ料理なんて分かりませんでしたから、昭弘くんの勘違いも尤もだと言えましょう。

「うんうん、国のタイのカレー。お姉ちゃんがいまエスニックにはまってるの。カレーにココナッツミルク入れるんだよ。材料は変だけど普通のカレーより簡単に作れるよ。」

「へえ~。それおいしいの?」

「なんか、けっこうしっかり辛くて、最初はココナッツミルクにも慣れなくて微妙だったけど、なんかはまった。」

「へえ~。どうやってつくんの?」

「まず、カレーペーストとナンプラー買ってきてね、それから・・・。」




なんということでしょう。会話が盛り上がっています。


「信じられん・・・。」

ハラマサくんと徹くんも、無責任なことを言いながらも、驚きを隠せません。



二人の楽しい会話は先生が来るまで、ずっと続いたのでした。




次回へ続く。