ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。
第30話 プロジェクトS-その26-

どうも鈴木です。もうすぐテストですよ。
むかしっからそうなんですが、テスト週間になると異様に関係のないことに筆が進みます。

中学時代にやってたHPも、高校時代の日記も、受験間近とかになると異様に記述が多くなります。大変分かりやすい現実逃避なのか、はたまた焦っていろんなこと考えすぎな頭の中を少しでも整理しようという合理的な反応なのか。それは誰にも分かりません。




さて、つづき。


さて、とりあえず昭弘くんの恋を実らすためには一にも二にもまずは会話だ、という結論に達した三人は次の日早速それを実践することにしました、というところで話は終わったんでしたよね。

三人が実践するといってももちろん昭弘くんがメインで喋らなければなりませんので、他の二人は遠巻きに見ているだけです。しかし、それにも関わらず徹くんとハラマサくんは心優しいことに昭弘くんが会話の内容に窮さないように、いくつか昭弘くんと牧田さんの二人が盛り上がれそうな鉄板な話題を次の日までに考えてくれるという約束をしてくれたのでした。


次の日の朝。

昭弘くんは晩御飯を食べてからすぐに部屋に引っ込み、以降テレビも見ずに、ひったすら部屋に閉じこもり妄想にふけっていたので若干寝不足気味でありましたが、朝はちゃんと起きて学校に向かったのでした。


三人は登校途中にあるアパートの駐車場で待ち合わせをし、揃って学校へ向かいました。女子と違い、大概男子というのはこういう待ち合わせをせず学校に行くものなのでこういうことは彼らにとっては珍しいことでした。

「おう、おはよ。相変わらず寒びいなおい。ってか、昭弘寝不足か?クマできてるぞ?」
方言か何か分からないですが筆者が中学の頃はこのように「さびい」とよく言いました。
そして昭弘くんのクマの原因は言うまでもなく長時間に渡る妄想です。

「いや、別に寝不足じゃないよ。」

なんかこういうどうでもいい嘘って、人はなんのためにつくんでしょうかね。

「そうか、ならいいけど。さて、それはそうと考えてきたぜ、話題。」
ハラマサくんが一枚のメモを学ランの胸ポケットから出しました。
そう。彼は前述の話題をきちんと考えてきてくれたのでした。

「おお、すまんな!ありがたい!」

「昨日は勉強もせんと、そればっか買いとったわ。」

「そんなんじゃ学年末テストがまた悲惨なことになるぞ。」

「そんなん知らん。」

「ところで肝心の中身はなんなんだよ。」
徹くんが言います。

「今見るよ。えーっとなになに・・・『プロジェクトS第一弾 ハラマサおススメの鉄板話題集』?ってお前タイトルまで考えたんか?」
昭弘くんが呆れます。

「いや、なんか作戦ぽくてええがん?」

ハラマサくん、かわいいやつです。

「ま、いいや、えーっと

 1・・・給食のマーボー豆腐ってそんなに辛くないよね。

 ・・・なんだこれ?」

「なんだこれって、話題にきまっとるがや。」
ハラマサくんは平然と言います。

「お前、給食のマーボー豆腐に豆板醤がふんだんに使われていないという話題でどう盛り上がればいいんだよ!俺は周富徳か!?」

「なんでえ?盛り上がれるって。」
しかしハラマサくんは譲りません。

「給食のマーボーは大して辛くないよね、って牧田さんに言ってみい、「そうよね。私ももっと辛いほうが好きだわ」ってなるがや。そしたらそこから自分ちのマーボー豆腐がどうだとか、同じ中華料理だったら八宝菜のほうが好きだとか、駅前の中華屋の高菜チャーハンが美味いとかそういうふうに膨らむだろうが。」

あれれ。実はハラマサくん、なかなか考えてました。これには二人もびっくり。

「うーん。言われて見れば確かに膨らみそうだな・・・。食べ物の話って意外と盛り上がるし。」

「でもなんでマーボー豆腐なんだよ?」

「徹にしちゃ間抜けな質問だな。今日の給食はマーボー豆腐だろ。今日の給食なんだっけ~とか言えば自然なフリだろうが。」

「なるほど・・・。」
ハラマサくんの思わぬ機転に、徹くんも感心してます。


「なるほど、こりゃ使えるわ。いや、すまんハラマサ。こりゃかなり鉄板なネタだぞ!」

「ほうだろうに。他のも使えるもんばっかだぞ。」

「どれどれ。えーっと、

2・・・好きなマンガはなんですか?

 ・・・これは無難だな。」

「そうだろ。こういう基本的なのも必要かと思って。話題の振り方としては、今昭弘がはまってるマンガかなんかを挙げておいて、「ところで牧田さんはなんか好きなマンガとかあんの?」とかいって持ってけばいいんだよ。」

「なるほど。まともだ。」

「だろ?ちなみに昭弘、今お前どんなマンガ読んでんだ?」


「えー、魔方陣グルグルとかかな。」

「うーん・・・あんまり冴えないけどまあ、いいや。そこは無難にスラダンとかいっときゃいいよ。」

「なるほど。」

「そこで、向こうが何か少女マンガとか挙げたらそれがどんな話か突っ込めば続くだろ。会話も。」

「なるほど!」

「はー。なんかハラマサ、意外とまともなこと考えてきてるな。」

徹くんが言いました。

「いや、ほんとそうだと思うわ。お前成績は悪いけど頭はマジでいいと思うよ。」

昭弘くんも言います。


「よせよ~!」

ハラマサくん照れます。

「いや、ほんとすごいと思うよ。じゃあ、三つ目いこか。え~っと・・・

 3・・・どうして女子は水泳をよく見学するのですか?


・・・・なんだこれ」

「あ、それは俺が個人的に気になってて女子に聞きたかったことだから、きいといてくれよ。」
ハラマサくんはさらっと言いました。


「こりゃあ、鉄板ネタどころか鉄板でフラれるな・・・。」



やっぱりハラマサくんはただの馬鹿だったのでした。




次回へつづく・・・