ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。

第22話  プロジェクトS-その18-


鈴木です。

今日はいつもの雑談を止めていきなり本編にいこうと思います。

なんか最近「最初の雑談のほうがおもしろい」との声をきき、ちょっとへこんでいるためです。

まあ、認めますけど。


んで、本編です。


「昭弘、お前恋しちゃってるの?」

「まあね・・・。」

昭弘くんはニヤつきながらこたえました。

「念のためきくけど相手は・・・・牧田さん?」

徹くんがきくと昭弘くんはやはりニヤつきながら

「まあね・・・。」

と答えたのでした。

「・・・・・・。」

徹くんもハラマサくんもしばし声が出ませんでした、先日まで何とも思っていなかった女子生徒を突然好きになってるわけですから。しかも先週までは牧田さんのほうが昭弘くんを好きなんじゃないのかという話をしてたのですから。うーん、中学生の恋心って謎ですよね。

ま、それはそれとしても確かに「あいつお前のこと好きなんだってよ。」ってことを言われた場合、それまで気にしていなかった人だったとしても、急に意識し始めちゃって、何だかんだ恋に落ちているってことはこの年頃だとありますよね。


ちなみに筆者は「あいつお前のこと好きなんだってよ。」と言われたことは生まれてから一度もありませんのでこのような勘違いもしなくてすみました。ああよかった。

閑話休題

「どうした?急に黙って。」

昭弘くんが二人に声をかけます。


「いや、まあ、うん、いいんじゃない?いい娘そうだし。」
徹くんが答えました。
ちなみに友人に急に好きな人をカミングアウトされたときにこう答えるときというのは、大抵心のうちでは「びみょー」と思っている場合が多いものですね。

「どのへんを好きになったんだ?」
とりあえずハラマサくんがききます。まあ、二人とも急に「自分のこと好き説」を真に受けた昭弘くんが舞い上がってるだけというのは分かっているのですが。

「まあ、なんていうかね、笑顔がいいし、話しやすいし・・・。」
話しやすいもなにも昭弘くん殆どしゃべれていないのになにを持ってしゃべりやすいといっているのでしょうか。
むこうはすげえ話しにくいと思ってるのは確実でしょう。

ちなみにオクテな男子中学生は普段女の子とあまりにもしゃべらないので、たまに喋りかけてくる女に子はみんな「喋りやすい。」と勘違いする傾向にあります。


「なるほどね・・・。」



その後しばらく沈黙が続きました。


「まあ、でも多分うまくいくんじゃね?」

徹くんが言いました。


「だいたい、こないだ昭弘宛てに随分熱い年賀状よこしてるんだし、急に喋りかけてくるようになったんだしさ、どう見たって脈あるだろ。」

そうなのです。確かに徹くんの言うとおり今の状況だと、大いに脈がある恋だと言えるでしょう。

前に述べましたが、昭弘くんの恋はいわゆる中学生にありがちな恋ではありませんでした。


実に地味~にいいところをついた恋と言えたのです。


牧田さんの風貌は前にも述べたように「普通中の普通」という感じ。特に目立つような女子生徒ではありませんし、これならライバルもいなさそうにありません。

言い方は悪いかもしれないのですが、「大学生になって彼女が欲しくてしかたなくテニスサークルあたりに入った田舎公立高校出身大学入ってから急に茶髪にしてみました的なやつ」がサークル内の、目立たないけど特に悪くもないレベルの女の子にいくような、そんな感じの恋だったのです。


つまり、中学生の恋にしては高望みではなく極めて現実的なのでした。


「そうかなあ。」

昭弘くんは徹くんの言うことに対して素直に喜びます。


「大丈夫じゃね?いけるよ。」

ハラマサくんもいいます。

「そうかなあ。」

「いけるよ。応援するからさ。」

「そうか?ありがたいよ。」

*この場合「応援する」という友人は単に第三者としてこの恋を観察することを目的としており、心から応援してないことが多い。それどころかこの恋に関する裏情報を横流ししたりもする。

「そうだよ、牧田彩夏が鈴木彩夏になる日も遠くはないさ。」

「そうだ、これはプロジェクト立ち上げだな!」

三人は急に盛り上がり始めました。


「プロジェクトXだ!」
「いや、ここは鈴木のSと彩夏のSをとってプロジェクトSだろ!」

「そうだ!」



こうしてここに「プロジェクトS」は立ち上がったのでした。


「しかし、今気がついたが・・・・」
急にハラマサくんが言いました。

「なんだ?」
「牧田彩夏ってイニシャルSMだな。」



「そこかよ!」


次回へ続く・・・。