ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。

第15話  プロジェクトS-その11-


どうも。鈴木です。
見出しにも書きましたが、四月になっても部活動を辞めて孤独への道を突っ走り、日々バイトをしておるだけの自分には、特に何も生活の変化が感じられません。中学時代にあれほどまでに新学期にドキドキしていた自分が嘘のようです。クラス替えと担任発表のドキドキがもう二度と味わうことができないというのは、ちょっぴり切ないですねえ。

さて、本編に移りましょう。


日も暮れてきて、ハラマサくん・徹くんの二人と別れてうちに帰ることにした昭弘くん。

巽ヶ丘の坂道をえっちらおっちらと、彼は一人歩きながら先ほどの会話を反芻していたのでした。
先ほどの会話とはつまり、さっきまでハラマサくん・徹くんの二人としていたあの会話。
そう。牧田さんが昭弘くんのことを好きなんじゃないか(あくまで予想)という内容のトークのことをさします。

「牧田さんが俺のことを好き・・・」

好き・・・何と甘美な響きでしょう。
自分のことを好きな女の子がいる。そう想像しただけで、もう昭弘くんはニヤニヤが止まらず、一人「うわああ!!」と坂を駆け下りたくなる心境にかられるのでした。

念のため再び言っておきますが、牧田さんは昭弘くんのことが好きと世に向かって宣言したわけではまったくありません。
これはあくまでも昭弘くんとその友人2名の勝手な想像であることをよくご理解の上お読みいただけると幸いです。

さて、ニヤニヤしつつ家に着いた昭弘くん。
「ただいま~」と言い、家に上がります。
昭弘くんの世代の田舎の家の子どもは、見た目はわりと不良でも中学校くらいまで、帰った際には律儀に「ただいま」と言う傾向にあります。昭弘くんは見た目全く不良とは言いがたいのでもちろん「ただいま」と言って家に上がるわけです。

「おかえり。」

昭弘くんの弟です。

まだ言ってなかったかも知れませんが、昭弘くんには弟が三人いました。
つまり鈴木家の兄弟構成は昭弘くんを長男とし、男ばかりの兄弟が四人ということになります。

いくら田舎と言えどもこの人数はこの当時でもちょっと珍しいことでした。

ちなみにこの四人兄弟は中1、小5、小3、小1、とうまく等差数列になっているのも有名な話です。
無計画に産んだんだか、計画的に産んだんだかさっぱりわからないですね。

「お兄ちゃん、何をニヤニヤしてるの?」

まだ小学校1年生の末の弟は昭弘くんのニヤニヤ顔を見ながらきょとんとした顔で聞きます。

「別にニヤニヤなんてしてねえよ。」
「嘘だ~。しとったよ~。」
「してねえよ。」
「してた~してた~してた~!」

どうして弟というやつはこうも調子に乗るのでしょうか。

昭弘くんはちょっとむっとしましたが

むかつく→弟を殴る→弟泣く→親キレる→円滑な夕食摂取の妨げになる

というスパイラルをもう何百回と繰り返しているのでここはぐっと我慢。さっさと自室に戻りました。

「ふわあ。」

電気をつけると、昭弘くんは学ランのまま畳んである布団にたおれこみました。

ふわふわとした感触が昭弘くんをつつみます。

そしてやっぱり
「牧田さんが俺のことを・・・。」
と言って、
「信じられんなあ・・・。」
と一言付け加え、そして恥ずかしそうに枕に顔をうずめるのでした。何ともキモい光景です。


いやあ、何度も言うけど本人に言われるまで、まだ信じちゃダメなんだよ昭弘くん。



・・・って聞こえるわけないわなあ・・・。




次回へつづく・・・