ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。

第11話 プロジェクトS -その7-


さて前回のつづきから。

とりあえずハラマサくんの勝手な意向で、中学一年生である今は彼女などいなくても別に問題ないという非常に消極的な結論でこの場がまとめられそうな雰囲気になってきました。

そもそも最初にこの話題をふったのがハラマサくんであったのにも関わらずなんという勝手な論の展開でありましょうか。

さてそんなとき、ふと徹くんが昭弘くんに

「全然話はとぶんだけど、昭弘は気になる女の子はおったりせんわけ?」

と聞いてきました。

「え?なんで?」
「いや、ハラマサはこう言うけど、俺は好きな人がいるかどうかが大事だと思うんだよ。彼女がいる、いないっていうのは極論であって、好きな人がいないなら別に彼女なんていなくて当然なわけで、なんてことを考えてたら、昭弘好きな人とかいるのかなあ、なんて気になってきて。ほら俺転入生だからさ、みんなのそういうことにうとくてね。」

そう。徹くんはこのあいだの夏休みに東部中学校に来た転入生。
珍しく恋の話に参加したとなれば、有人の好きな人が気になるのも無理はありません。

「昭弘は小6のとき同じクラスだった倉山が好きだったよな。まだ好きなのか?」
「バーロー!!」
昭弘くんがハラマサくんをどつきました。

「いてて・・・わりい。ごめん。ごめんってば。もう言わないって。」
「倉山さんて、4組のテニス部の娘だったっけ?」
「そうそう。あのわりとかわいいの。昭弘が6年のときに一目惚れしてさあ。」
「くおら!!!ハラマサ!!」

反省を見せないハラマサくんに昭弘くんが教育および肉体的指導を施しているところをなんとか徹くんが制し、ハラマサくんは難を逃れたのでした。

「昭弘ぉ。結構痛かったんだけど。」
「やかましいわ。」
「まあまあ。もう倉山さんのことは聞いちゃったからここは一つ話してくれよ昭弘くん。」
「あ~、わかったよ。ちっハラマサめ、余計なこといいおって。」
「ごめんって!で、今も好きなのか?」
「お前ちょっとは反省しろって・・・。で、どうなの?昭弘?」
「どうなのって・・・。」


倉山さんとはハラマサくんが言ったとおり、小学校6年生の頃に同じクラスだった女の子で、昭弘くんは彼女に一目惚れをし、それから小学校卒業までずーっと秘かに(男子はほとんどが知っていたが・・・)想っていた娘なのでした。
しかし倉山さんはいわゆる前回の図式で言うところの「かなりかわいい女子」に分類される女の子でした。よって中学校に入るやいなや、小学校時代以上の勢いでもて始めたのです。

そしてある日、昭弘くんがいつものように部活の帰りに友人たちと歩いていると、偶然倉山さんが歩いているのを目撃しました。そして、彼女の横には上級生と思われる男が一緒に歩いていたのです。
「あ?あれ倉山だろ。あいつ加納先輩と付き合ってるんだよな。」
昭弘くんと一緒にいた友人はこう言いました。

昭弘くんがそれを目撃したとき、昭弘くんは倉山さんが好きであったかと言われると、正直なんともいえないところでした。中学入学当初はまだその想いもかなりのものでしたが、クラスも離れてしまうと元々そんなにつながりのない娘ですからすぐ疎遠になるわけです。
それに昭弘くんも自分なりに、倉山さんと自分ではやはりレベルが違うんだ、ということは薄々感づいていたし、たぶんこの先告白をすることもないだろう、ということも思っていました。
つまりわりとどうでもよくなっていたのです。

しかしいざ目撃するとこれは結構ショッキングなことでした。

加納先輩というのは昭弘くんの一つ上の先輩で、見た目はいいけれどもあまり評判のよくない、いわゆるチャラ男と呼ばれる部類の男でした。
しかし当時の東部中学校ではこういう男がモテていたのです。たぶん他の中学校でもそうだったでしょう。
よりによってこういう男にひっかかってしまったのか、という思いが湧く一方、しかし、相手がだれであっても昭弘くんはショックを受けたんだろうなあと思いました。

そして昭弘くんは「なんだかなあ・・・。」と阿藤快のように連呼しつつ、二日ばかり眠れぬ夜を過ごしたのでした。


「どうなの?昭弘?まだ倉山が好きなのか?」



「いや、もう好きでもなんでもないよ。」

昭弘くんは初めて声に出してそう言えたのでした。


次回へつづく・・・。