ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。

第9話 プロジェクトS -その5-


さてさて、鈴木です。

このおはなしの主人公である昭弘くん(現在二十歳)曰く
「この先書かれると恥ずかしいんだけど・・・。」
とのことなんですが、とりあえず書き進めていきたいと思います。


さて、牧田さんとの思わぬ会話ですっかり動転してしまった昭弘くんですが、とりあえず、この日も学校は始まりました。
と言ってもまだ始業式の日ですから、授業はないんですが。


「おい。昭弘。」
「なんじゃい。」
ハラマサくんです。


「次の放課ヒマかー?宿題忘れたから写させてくれよ。」
「いいけど、帰りにジュースおごってくれや。」
「わかったから早く見せろ。」


ちなみにここで本筋とは関係ないのですが、この「放課」という言葉について。
この言葉は辞書で引くと「その日の学校の課題が終わること。」などとでるのですが、このおはなしの舞台である愛知県近辺では上記のハラマサくんのセリフのように「休み時間」の意味で使われるということを是非読者の方々には覚えていていただきたいのです。
何せ中学生での会話ではよく使われる言葉ですし、このおはなしは当時昭弘くんたちが使っていた方言まで忠実に再現しておりますゆえ宜しくおねがいします。ちなみに筆者は大学で東京に出たとき、これが方言だと言われ愕然としました。

閑話休題

さて、そしてその日の放課後(これが正しい使い方らしいです)、ハラマサくんは約束どおり、昭弘くんにジュースをおごってくれました。
ちなみに昭弘くんたちの通う東部中学校は現金を持っていくことは許されていませんでしたが、そんなことは知ったことではありません。

もっとも現金を持っていったところで田舎なので通学路に店が一軒も無く自販機以外に使うところもないんですが・・・。

とりあえず昭弘くんハラマサくんの二人に、朝に昭弘くんと一緒だった徹くんの三人を加えて、三人で公園のベンチに腰掛けて熱々の缶のコーンポタージュスープを(またかよ)じゅるじゅるとすすったのでした。

「あーあ。しかし、クリスマスも年末年始も、なんつーかこう、味気ねえよなあ。」
スープを飲み干したハラマサくんが缶に残ったコーンの粒を何とか食べようと、
缶を振り回しながら言いました。
「なんでえ?」
徹くんが聞きます。
「世の中、やれクリスマスは恋人と映画だとか、やれ正月は晴れ着の彼女と初詣だとか言うじゃんか、それに比べて俺たちの年末年始のまあ色気のないこと。
なんかやってらんなくねーか?」
俺たちの、というふうにひとくくりにされるのはなんだか悔しいのですが、ハラマサくんの言うとおり、昭弘くんにも徹くんにももちろん彼女なんて存在はしていませんでしたから、ひとくくりにされても何も文句は言えないわけです。
「まあ、確かにそうだよね。そういうのにあこがれるかあこがれないかと言われたら、断然あこがれるよ。」
徹くんが冷静に言いました。
「確かに。そうなったら中学生活もかなりの彩りになるだろうなあ。」
「だろ?まったく世の中どうなってるんだろうなあ。」
ハラマサくんは悔しそうに舌打ちをしました。

もっとも、世の中が正常に機能しているからこそハラマサくんたちに彼女ができていないということにアホな中学生三人組みはまったく気がついていないわけですが。しかしこれは仕方の無いことでしょう。若いうちは何でも世の中と人のせいにしたがるものです。


「あーあ。何かこう、どーんといいことおきねえかな?」
「いいこと?たとえばどんな?」
「いや、進研ゼミの漫画みたいな。」


それは無理だろハラマサくん。



次回へつづく・・・