ライター:鈴木アキヒロ
中学時代。あの頃僕らは何を考えていたのだろう。頭の中の九割は性欲で残りの一割で遊んだり勉強したりしていたあの頃。そんな時代を少年Sと一緒に思い出してみませんか?
ちなみに少年Sは筆者とは何の関係もありません。マジです。いやほんとに。ほんと ですって。

第7話 プロジェクトS -その3- 


どうも、鈴木です~。いやあ、今年は暖冬ですね。

ところで少年Sは一応続きものですので、一話目から読んでいただけると大変ありがたいです。これまでの話は右側のバックナンバーのとこに全部ありますんで。下から順に是非どうぞ。そして他のライターさんたちのコラムも是非どうぞ。

さて、では本筋に戻って、正月早々女の子から不思議な年賀状が届いた昭弘くんです。

さすがにほとんどしゃべったことも無いような女の子からの年賀状は昭弘くんの心に何とも表現しにくいもやっとした気分を残し、昭弘くんはその日はなんだか狐に包まれたような不思議な気分でした。
しかし、昭弘くんはまごうことなき田舎中学生でしたから、やれ近所の神社にみんなで初詣だとか、ばあちゃん家でお年玉だとか、宿題のポスターが手付かずだ、といったような正月にありがちなトピックに翻弄されているうちに、ただでさえ短い冬休みの残りの一週間はあっというまに過ぎていきまして、昭弘くんの中での牧田さんの存在も徐々に薄れていったのでした。

そしてそうこういってる間に新学期がやってきたのでした。

新学期最初の登校日。
空は冬らしく晴れ渡り、そして冷え込み、家を出た瞬間息が白くなるのが昭弘くんを萎えさせます。それでも中学生は学校に行かなくてはなりません。昭弘くんも学ランの中にセーターを着込んで、通学路を歩き始めました。

「お。昭弘。」
途中で声をかけてきたのは徹くんです。徹くんとは年賀状にあるなしクイズを書いて送ってきた例の秀才です。

「あれわかったか?」
「ああ。分かったよ。都築徹くん。」
「なんだあ、わかったのか。」
「一瞬で分かったわ。」
昭弘くんがそう言うと徹くんは露骨に悔しそうな顔をし、話題を変えました。

「ところで昭弘、お前正月はどうしとったんだ?」
「俺は二日・三日は名古屋のばあちゃん家に行って、あとは家でポスターやっとったわ。」
昭弘くんは手に持っていた四つ切り画用紙を丸めたものを指差しながら答えました。
「これ面倒くさいよな。俺は無難に『火の用心』にしたわ。お前は?」
「『明るい選挙』にした。」

二人が言っているのは、大体毎年長期休暇の際に小・中学生に課されるポスターの作品応募の課題のテーマでした。この二つは大体どんなときにもテーマとしてあり、もう一つメジャーなものに『非行防止』があります。今回の休みも課題として一点以上の作品提出が美術の先生からつげられていたのでした。

「そもそも応募なんだから、生徒としては出したくなきゃ出さなくてもよさそうなものなのに、なんで強制されなくてはならないのか分からん。美術教師をかたっぱしから殴らんと気がすまん。多分殴れないけど。あと、みんな、俺のことインド人みたいな顔してるって言うのやめてくんないかな。」と後年昭弘くんは述懐しています。

そんなわけで、昭弘くんも徹くんもポスターを描いて持ってきているわけですね。
ま、昭弘くんの場合は画用紙にの真ん中に「投票箱」と書いたグレーの箱を書いて、そこに紙を持って伸びている人の腕を描いて、「明るい選挙」と字を入れただけの代物、一方の徹くんも窓が一つしかない初歩的な構図の家が炎に包まれて燃えてるところの上部に「火の用心」という字を挿入しただけの代物という、おおよそポスターと呼ぶにはおこがましい作品であったのですが。

さて、そしてポスターのことをわいわいとしゃべっているうちに、二人は学校に到着。同じ教室に入ります。

「どっこいしょ。あ~。」
教室に入ると、どさっと机に重たい鞄を置いて、だらしない声を出しつつ椅子に腰掛ける昭弘くん。その姿はまるでおっさんです。

そのときでした。

「鈴木くん。おはよう。」

と、耳慣れない声が。

「んぁ?」

昭弘くんが振り返ると、そこにはなんと、牧田さんが立っていたのです。

なんというベタな展開なんでしょう!


その4へつづく・・・。