
ライター:Bro.トシマサ
てんびん座でAB型の人は優柔不断だ、なんてきいたことはないけれど、僕が優柔不断なのはそのせいだとおもう。そんなわけで、あいまいな僕の、あいまいな考えを、あいまいにつづっていきたい。
第43回 コーティング
この前、大学に出さなければならない
書類を提出するのを忘れていて、
あわてて教務課的なところへ提出しに行った。
もちろん、想像していたような快い対応はなく
今頃提出しに来たのですかといった意味を含んだ台詞を頂き、
今後書類は遅れずに提出いたしますといった意味の誓約書を
書かなければならなかった。
もちろん、まったくもって僕が悪いのであって
職員側の対応にはまったく落ち度はなくて、
僕はただただ堕落してしまった自分を恥じるだけだった。
だから、申し訳ない気持ちは自然に出てくるのだけど
本当に僕は申し訳ないと思っているのだということを
伝えようと不自然な演技が加わってしまう。
変な目の使いっぷりだとか。
本当に申し訳ないと思っているけれど、
少しばかりの演技が入ってしまった場合、
本当に申し訳ないと思っていると言えるのだろうかという
自問自答をしながらも、
教務課のカウンター前での必要以上の演技は続く。
誓約書には、なぜ提出が遅れてしまったかの理由を
書かなければならなくて、そんな理由は自明で、
ただ単に僕が堕落していたからに過ぎない。
だけど、誓約書に「堕落のため」などとは書けないので
職員の人に、「普通どういった理由が多いんですかね」と
愚問としか言いようがない質問を投げかけた。
もちろん、職員の人は「人それぞれです」といった
至極まっとうな答えを返してくれた。
それはその通りで、この世で起こることのだいたいは
人それぞれなわけで、人それぞれだからこそ
悩まなければならないことが多すぎるのだ。
僕はそれは苦しいことだけれどそれなりにいいことだと思う
なんてことを考えながら、必要以上の演技を続ける。
「そりゃ、そうですね」なんて愛想笑いを浮かべて
遅れてしまった理由を考える。
そこで、書類を無くしてしまったといった意味を書こうと思い
でも「書類を無くしてしまいました」なんていうんじゃ
小学生みたいなので、大学生らしい言葉を使おうと思った。
そうだ、「紛失」だ。いい言葉だ、書類に相応しい。
で、紛失という言葉が思い浮かぶと同時に
中学校のときのワンシーンを僕はふいに思い出す。
それは中一のときだった。
僕のクラスには、ちびまるこちゃんの山田みたいな奴がいて
そいつは毎週提出しなければならない生活ノートを
忘れてきて、ヤクザみたいな担任にその日も怒られていた。
理由を問い詰められたときに、そいつは照れ笑いをしながら
「あのぉ、へへ、紛失しちゃいました。」って言ったのだった。
そう、紛失っていうのはすごい便利な言葉だ。
だから、いつもバカな事をしているあいつだって使ったんだろう。
で、僕はそんなことを思い出しながら
バカにしていたあいつの立場に今僕は立っていることに気付く。
単なる堕落を「紛失」なんていう言葉で
コーティングしようとしている自分に気づく。
笑って悪かった。
だけど、「紛失」っていう言葉以外に適切な言葉が見つからなくて
結局そう書くしかなかった。
僕は誓約書を提出して、頭を下げて教務課を去る。
ふいにもしかして「粉失」って書いたような気がしてきたけれど、
そんなことはもうどうだっていい。
要はもう、そんな言葉使わなければいいのだから。
といっても、物はすぐにどこかに消えてしまうのも事実で、
足の踏み場のない部屋に着いたときには
また漠然とした不安が頭をよぎって、そのまま寝た。
この前、大学に出さなければならない
書類を提出するのを忘れていて、
あわてて教務課的なところへ提出しに行った。
もちろん、想像していたような快い対応はなく
今頃提出しに来たのですかといった意味を含んだ台詞を頂き、
今後書類は遅れずに提出いたしますといった意味の誓約書を
書かなければならなかった。
もちろん、まったくもって僕が悪いのであって
職員側の対応にはまったく落ち度はなくて、
僕はただただ堕落してしまった自分を恥じるだけだった。
だから、申し訳ない気持ちは自然に出てくるのだけど
本当に僕は申し訳ないと思っているのだということを
伝えようと不自然な演技が加わってしまう。
変な目の使いっぷりだとか。
本当に申し訳ないと思っているけれど、
少しばかりの演技が入ってしまった場合、
本当に申し訳ないと思っていると言えるのだろうかという
自問自答をしながらも、
教務課のカウンター前での必要以上の演技は続く。
誓約書には、なぜ提出が遅れてしまったかの理由を
書かなければならなくて、そんな理由は自明で、
ただ単に僕が堕落していたからに過ぎない。
だけど、誓約書に「堕落のため」などとは書けないので
職員の人に、「普通どういった理由が多いんですかね」と
愚問としか言いようがない質問を投げかけた。
もちろん、職員の人は「人それぞれです」といった
至極まっとうな答えを返してくれた。
それはその通りで、この世で起こることのだいたいは
人それぞれなわけで、人それぞれだからこそ
悩まなければならないことが多すぎるのだ。
僕はそれは苦しいことだけれどそれなりにいいことだと思う
なんてことを考えながら、必要以上の演技を続ける。
「そりゃ、そうですね」なんて愛想笑いを浮かべて
遅れてしまった理由を考える。
そこで、書類を無くしてしまったといった意味を書こうと思い
でも「書類を無くしてしまいました」なんていうんじゃ
小学生みたいなので、大学生らしい言葉を使おうと思った。
そうだ、「紛失」だ。いい言葉だ、書類に相応しい。
で、紛失という言葉が思い浮かぶと同時に
中学校のときのワンシーンを僕はふいに思い出す。
それは中一のときだった。
僕のクラスには、ちびまるこちゃんの山田みたいな奴がいて
そいつは毎週提出しなければならない生活ノートを
忘れてきて、ヤクザみたいな担任にその日も怒られていた。
理由を問い詰められたときに、そいつは照れ笑いをしながら
「あのぉ、へへ、紛失しちゃいました。」って言ったのだった。
そう、紛失っていうのはすごい便利な言葉だ。
だから、いつもバカな事をしているあいつだって使ったんだろう。
で、僕はそんなことを思い出しながら
バカにしていたあいつの立場に今僕は立っていることに気付く。
単なる堕落を「紛失」なんていう言葉で
コーティングしようとしている自分に気づく。
笑って悪かった。
だけど、「紛失」っていう言葉以外に適切な言葉が見つからなくて
結局そう書くしかなかった。
僕は誓約書を提出して、頭を下げて教務課を去る。
ふいにもしかして「粉失」って書いたような気がしてきたけれど、
そんなことはもうどうだっていい。
要はもう、そんな言葉使わなければいいのだから。
といっても、物はすぐにどこかに消えてしまうのも事実で、
足の踏み場のない部屋に着いたときには
また漠然とした不安が頭をよぎって、そのまま寝た。
| 第48回 | スリップ・オブ・ザ・タン | 2008.02.11 |
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