ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています
第34回 いまどきのTOKYO烏山川緑道

一般的な大学生は夏休みに入ってしばらく経つころだと思うのですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
ぼくはとりあえず帰省しているわけですが。東京にいても名古屋にいても、予定が無いということには結局変わりはない。ここ一週間でやったことといえば、いつまでたっても治癒の気配さえ見せない持病のアトピーのために通院したことぐらい。大学生にもなってアトピーだなんて、泣きたくなるばかりである。21歳になるというのに、いまだ肌の過敏に悩まされるとは…。

のっけから救いようがない暗さであるが、今回は「烏山川緑道」を紹介しようと思う。

あまり馴染みのない方が多いかもしれないのでちょっと言っておくと、烏山川緑道とは三軒茶屋を訪れる際には欠かせない、もうこれを見ずして何を見るんだってほどの超ステキスポットのことです!
というのはもちろん嘘で、別にたいして見る価値もないただの遊歩道です!!


茶沢通りをまっすぐ歩いていくと、こんな枝分かれに出会う。
これが烏山川緑道である。太子堂小学校の前あたりから、太子堂商店街にだいたい並行な感じではしっている遊歩道。
しばらく前に三軒茶屋について書いたけれど、そのときはゴリラビルの方へ歩いている途中にこんな風景を目にしたものの、とくに心惹かれるものは無かったので素通りしていたのだった。

しかしこの日は違った。この前同様、世田谷パブリックシアターで観劇した後に三茶をウロウロしていて、ここ烏山川緑道に再び出会ったのだけど。何気なく緑道の奥をちらっと伺ってみると、


わー、猫だ。
これは猫好きにはたまらない。猫がとくに好きでも嫌いでもないという普通の人は、野良猫なんかに出くわしても「あ、猫だ」とか思うだけでしょうが。猫好きという特殊な人種は、外で猫を見かけただけでも脳内にあきらかに何らかの興奮物質が分泌され、幸福感を司る神経がそれを過敏に受け止めるのです。そして声には出さねど、頭の中いっぱいに「猫ちゃ~ん」などと猫撫で声が響きわたる。…客観的に見てかなり気持ち悪いと思うけど、好きなものは好きなのだから仕方がない。


二匹目。烏山川緑道は、どうやら野良猫が好んで日なたぼっこをしているところらしい。一匹目はいわゆるブチ猫だったが、これは何だろうか。シッポがシマシマになっているからトラ猫なのかな。民家の勝手口でボーっとしていて、かわいい。

そう、こういう風に前足を折りたたんで小さくなっている猫は寝ているように見えるが、実はこれは眠っているわけではなく単にボーッとしているだけらしいのだ。
とくに家猫などは四六時中こうやって寝ているように見えるが、実際はエサも安全も確保されているので特にやることが見あたらず、ぼーっとして時間を潰しているのだとか。実際の睡眠時間は人間と大差ないとまで言われているようで。
怠けているだけなのにそれがカワイイとか言われて容認され愛されるなんて、まったくうらやましい生き物である。


あと数匹かわいらしい野良猫を見かけたので、猫が好きだけど一人暮らしで飼えない人などは烏山川緑道に行ってみるといいかもしれない。これは見ての通り黒猫。こういうところに住んでいる猫は誰かに餌付けされてるもんだから、絶対コイツはクロとか呼ばれてるんだろうな。三毛猫のミケと黒猫のクロは鉄板。
でも、白猫をシロと呼ぶ気にはなぜかなれない。どうしてもクレヨンしんちゃんの犬を連想してしまうのが一因か。


烏山川緑道に野良猫しか見る物がないのかというと、そういうわけでもなかった。
足もとに敷かれた石や塀、柱など緑道内の至る所に、地元の小学生が描いたと思われる絵があしらわれているのだ。


みたところ絵のテーマは「動物」


そして「昆虫」


さらに「植物」であるようだ。
こういうの懐かしいなあ。小学校~中学校のときは、毎年春に動物園か植物園かで写生大会なんてやってたっけ…。
この烏山川緑道の小学生たちの絵といい、小学生の絵の課題といえば描くのは動植物っていうのが全国的にもお決まりらしい。

しかしここ烏山川緑道には、そんな思いこみを根底から覆す絵があった。


ガンダムである。νガンダム。「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」という作品に登場した人気モビルスーツである。
このνガンダム、とりあえず動植物というカテゴリには絶対に当てはまらない。Wikipediaではたぶん「架空の兵器」あたりにカテゴライズされるような存在である。
緑道に地元の小学生たちの絵を飾ろう!というこの企画に、はたしてνガンダムはマッチしていると言えるだろうか?どう考えても浮いている気がする。だって他の動物や植物の絵には構図や描き込みなどに小学生たちの努力がうかがえるけど、このνガンダムってどうみても版権イラストを写しただけではないか。
この絵の募集だか課題とかにおいてガンダムの絵を提出したこの山田くんとやら、中々の大物になるかもしれない。採用する方もする方だけど。

ちなみに(c)創通エージェンシー・サンライズの文字はどこにも見あたらなかったので、権利的にはぜったいマズいと思われます。いいのかそれで。

緑道が終わりに近づいてくると、小学生の絵のテーマがガラリと変わりました。


こんどは「人間」、たぶん自分を描いているんだと思うんですが、ただの自画像ではなく「ブラスバンドの一員になった自分」というテーマが設定されているみたいだ。
それぞれの楽器を演奏しながら行進する、ほにゃらら小学校マーチング・バンド。


楽器のデティールの描き込みに著しい個人差があるのがおもしろい。とくにこの二つの差は歴然としている。



この二人は肌が異様に黒い。とくに右側の少年。

これらの自画像達を眺めて、ちょっと思ったことがある。女子が描いた絵には、男子の絵には見られない意図があるような気がするのだ。


なんか、自分をかわいく描こうとしてないか?髪の感じとか、顔と目のバランスとか、黒目がちだったりとか。男子に比べると、服の描き込みについてのこだわりも感じられる。絵の中の世界にいる自分に、より可愛くあってほしいという意識が何となく感じられるような。

だが、そんな意図が一ミリも感じられない凄い作品もあったのだった!


スカートを履いている以外はどう見てもオッサンである。
黒目がちどころかオール黒目なのもなんだか怖い。
自分をかわいく描こうとする意図なんてまったく見受けられないが、もしもこれが「ありのままの自分」を描いた結果だとしたら可哀相すぎる…!

一連の絵画作品がいつごろ描かれたものなのかは定かではないが。どう見てもオッサンな自画像を描いたY香さん(仮名)が今はもう大人の女性へと成長していたとして、いったいどんな風になったのかが気にかかる。案外カワイくなってたりして。