ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています
第27回 いまどきのTOKYO電車の冷房

皆さんは、こんな注意書きを見たことがあるはずだ。


電車でたまに見るような気がする、冷房についての注意書き。そっけなく「弱冷房車」とだけある場合もあるが、先日メトロの車内でぼくの目にとまったものはこんな感じの表記であった。

今はもう6月も下旬、梅雨は始まったのか終わったのかよくわからないが猛暑の予感だけは感じる。電車の車内には当然冷房が効いている。だからこんな設定温度の注意書きもある。

だけど、確認したわけではないのだが、この注意書きは夏のみならず冬も貼られっぱなしなのではないだろうか?東京はどうだったか記憶にないが、名古屋の冬ではこれを目撃したことがあるような気がする。冬はこいつの代わりに「この車両は暖房を弱めに設定しております。」とあってもおかしくないのに、なぜだかそっちは見たことがない。

夏場、効き過ぎた冷房は(特に冷え性の女性には)寒いだけだったりすることがあり、そのために弱冷房の車両が用意されている。ならば、冬場には効き過ぎた暖房は暑いだけだったりするのだから(しかも冷え性の女性だけでなく厚着をしている人間全員にとって暑い)、弱暖房車が用意されていたっていいはずだ。
だのに、冬もこの弱冷房車の注意書きは貼られっぱなしでありいっこうに弱暖房車は用意されない。いったいどうしてだろうか?

…と若干気になったりもするが、今回はそこは深く考えないことにしよう。いまは冬ではなく夏なのだ。
せっかく買った折りたたみ傘の活躍の機会が少ないのは、ぼくが引きこもっているからかそれとも、カラ梅雨だからか。太陽のギラギラだけは着実にパワーアップしてきている今日この頃。先程述べたように、ぼくは学校帰りのメトロの車内にてこの注意書きにふと気づいた。


なるほど、前述のように夏場はキツすぎる冷房に肌寒さを感じることしばしば。映画館やデパート、もっと身近なところでいえばスーパーマーケットの店内でふるえるほどの寒さに襲われたことが誰しもあるはずだ。

だがそういった商業施設の場合、たとえ寒さを感じる人が多いとしても施設全体のエアコン設定を一律に上げるわけにはいかないのだろう。デパートといえば入った瞬間にヒヤッと来るってのが、一般家庭に冷房が普及していなかった頃からの夏の風物詩でもある。それにあれだけ大きな空間では、細かく空調を変更するのは難しいにちがいない。

しかし電車の車両であれば、小さな空間が連結によってはっきりと区切られているので事細かに温度設定を変えられる。だから冷え性の利用客を配慮して、夏場には弱冷房車が登場する。この辺は、ちゃんと客のことを考えてくれている気がしていいと思う。

しかしぼくは、あえて苦言を呈したい。「より広く客のニーズに応える」というのが客商売であるならばだ。電車の冷房設定は「通常」と「弱」の2種類だけでは不十分だ、という批判もあってしかるべきではないだろうか?
さきほどの注意書きのフォームを使って表現すると


こんな感じのものだってあるべきなんじゃないか、ということだ。エアコンが効きすぎて寒いって人だけでなく、エアコンが効かなすぎて暑い人だっているかもしれないのだ。こんな車両を用意してこそ、利用客のニーズに真に応えているといえる。

しかし、これではいささか不十分な感も否めない。さらに、


こんな車両も必要であろう。「強め」ぐらいでは満足できないような暑がりの方のために。「ものすごく強い冷房」ってのがどの程度のものなのかはよくわからないが、おそらく彼らに言わせれば「18℃なんて生ぬるいぜ!」ってことなんだろう。

だが「暑がりな人」への配慮をおこなうのなら、残念ながらこれで十分とは言えない。
「ものすごく強い冷房」でもまだまだ足りない、という猛者が存在する可能性を捨ててはいけないのだ。「え?この冷房『ものすごく強い』の?嘘だろ全然効いてねぇだろ!やる気あんのかよ!ふざけんじゃねえ!ファック!!」みたいに思う人がいるかもしれないではないか。そこを見落としてしまっては、サーヴィスを提供する側としては負けである。
なのでこのような設定の車両も用意するべきなのである。


すいましぇん!これで限界でぇす!これ以上は1℃も下がりましぇん!…という意思表示である。なにせ日本の人口は一億三千万である。それだけいれば、想定できるレベルを遙かに超える「暑がり」の人がいるにちがいない。そんな人たちにまで手の行き届いた鉄道作りが理想だが、ただ低い温度設定を用意するだけではとても追いつかないだろう。躍起になるあまり車両をフリーザーにしてしまっては本末転倒である。それではクール便だ。
そこで、いっそエアコンの機械的限界を高らかに宣言することをぼくは提案するのである。
「この車両は冷房をMAXに設定しております。」暑がりの人に「そうか…MAXなのかァ。マア全然暑いんだけど、MAXじゃしょうがねぇな。勘弁してやっかァ」と思っていただくのが狙いである。自らの限界と未熟さを素直に告白することで、暑がりの人に寛容の精神を訴えかけるのだ。ここまでやれば、車内にどんな暑がりな人がいたとしても不快感を与えない電車をつくることができるだろう。これまでに挙げた一連の注意書きによって、鉄道会社の計り知れないイメージアップが可能だとぼくは考える。

●●●

ところで、


この文面って、ちょっと手をくわえれば全く違う物に変わってしまう。
例えば、


「車両」を特定の電車にしてみたり。別にのぞみとかひかりでもいいんだけど、MAXを重ねたいという理由だけで東北・上越新幹線の2階建てのアイツをチョイスした。
さらに


こうすれば、とたんに発話者が小学生になってしまう。「いただきマッスル」的な、小学4~5年生くらいが言いそうな駄洒落。

とまァ、変化させていくうちに、日本語って英語などとは違って文型がまったく意味をもたない言語なんだなアと改めて思った。このへんで今回は終わりにしMAX!
…。