
東京にはあまり詳しくないです。
第23回 いまどきのTOKYONTTICC
前回の「Chocolate」に続いて、またもや大学の課題で展示を見に行かねばならなくなった。なので今回も、その感想などを書き散らかしていこうと思う。
ここでひとつ打ち明けておくと、ここ2回続いている展示会のレポートは実は、そのまんま大学の課題として提出するレポートの草稿となっている。
草稿といえば聞こえはいいが正直な話、ほぼ内容はそのままに、ちょっと文章を直しただけで提出している。ここを読んでくださっている方はおそらく、「こんなの提出してるのかよ…」と呆れられることだろう。
ごもっともである。本当に、我ながらにひどいレポートではあるが。ぼくの学業におけるモットーは「単位が取れさえすればいい」である。単位取得さえできれば全部「可」でもいいのだ。ぼくは大学入学から半年の間で自分の、所属学部への適正の無さに気づいてしまった。そうすると、もうやる気も何もあったもんじゃあない。ちゃんと卒業はしておこう、ただそれだけである。
ところでちょっと話がずれるが、「適正」っていうことを考えていくと。大学の勉強に適正が無いとすると、じゃあ自分は他の何に適正があるのかという話になる。ぼくの場合、いくら考えてみても「特に何もない」という結論に至り、愕然としてしまう。もう大学2年生、モラトリアムもあと僅かばかりである。ああもう、地球なんて滅んでしまえ!!
それはそれとして、今回行ってきたのは新宿にあるNTTICCというギャラリーです。そこには数々の「いかにも」なメディアアートが常設されているのだ。
あまりその方面には明るくないのだか、(かといってどの方面にも明るくないが、いちいち言ってるとキリがないなあ…)メディアアートって実物に触れてこそのものだと思う。ここNTTICCには一般的にメディアアートに分類されるような作品ばかりが数多く展示してあり、来場者はそれらに自由に触れることができる。
別にこの展示が特別にそうしているのでは無いと思う。よそでもそうだろう、展示するだけしておいて一切触れられないメディアアートというのはなかなか無いと思うし、そうなるとメディアアートでは無くなってくるような気がする。しかしこのNTTICCはとても大きなスペースであり、これだけの数のメディアアート作品が展示されている場所は他には滅多にないのではと思う。
複雑すぎて全体像の把握が難しいことで有名な新宿駅で降り、西口からテクテク歩いて都庁の方向へ。オペラシティタワーというビルに向かう。
着きました。NTTICC。キラ星のような作品の数々がこの地に。
さあ、この文章を読んでいる皆さんにも、アーティスト達の論理力と発想力、遊び心によって生まれたバラエティ豊かなメディアアートたちを心ゆくまま、鮮明な写真と共にお楽しみいただこう。
…という風にできればよかったのだが案の定、場内は写真撮影禁止であった。ぼくもいい加減学習している。知らずに写真を撮ってしまう前に「撮影はダメですよね?」と受付の方に訊いたのだ。もしかしてとも思ったが、やはりダメとのことなので。こんなときの為にと持参していたスケッチブックをかばんから取り出し、作品のカタチをスケッチすることにしたのだった。
そういうわけで今回は写真でなくぼくの描いた絵で、いくつか印象に残ったメディアアートを紹介します。あらかじめ言っておくが、ぼくの絵はとてもひどいのでご注意のほどを。なにせ、高校の美術の成績は最低評価だ。
さてここNTTICC、気前の良いことに入場無料である。入ってすぐ右手にカフェ、正面に受付・案内。左手にはもう、いくつかのメディアアート作品が置かれている。作品に好きなように触って遊べる。普通の美術品では絶対にあり得ないことだ。それだけで楽しくなってきてしまう。
はじめのフロアでひとつ面白かったのが、「Sharelog」。
…のっけから何が何だかわからない図で恐縮ですが。この作品、図の装置に手持ちのSuicaやPASMOをかざすとコンピュータが鉄道の利用履歴を読み取って、装置の液晶画面や前方のスクリーンに投影された東京都の地図上に、その軌跡をグラフィカルに表示してくれるのだ。日常生活で特に気にも留めずに行っている、しかし都市生活とは切っても切り離せない「移動」という行為。それが普段SuicaやPASMOを使うのと全く同じ「タッチ」という行動で、目に見えるモノに変化してしまうってのがとてもおもしろい。
ちなみにぼくの都市生活の軌跡はこんな感じでした。線だけだとさっぱりわからない。
奥には上階への階段がある。この階段にも作品が仕掛けられていた。ゲイナーカイダンというらしく、歩くたびにセンサーが足を感知してスピーカーから大げさな足音を立ててくれる。ゲイナーカイダンを上がって次のフロア、最初の部屋には床にメディアアートの歴史が年表や資料によって記されている。この部屋の作品で特におもしろかったのは「Media Art Chronology」。
これまた気の抜けた絵で申し訳ない。ぼくは四角形でさえまともに描けないのかもしれない。
これはプロジェクターとセンサーを使った作品である。プロジェクターで投影されているのは西暦の数字、そして「社会」「技術」「展示」「作品」と、それぞれ別の語句が記された半円が4つ。加えて、横に細長いパドルが一つ。
スクリーン手前に設置された手すりのような物の上部にはセンサーが取り付けられていて。この上に手をかざして左右に動かすと、スクリーンのパドルが横にスライドする。半円からはそれぞれ、その年におけるそのカテゴリの情報が閉じこめられたボールが落ちてきて、これをブロック崩しの要領でパドルで跳ね返すと、ボールの情報が展開されるという仕組み。年を変えるには、パドルをスライドさせる手を思いっきり画面外に動かせばいい。
自分のちょっとした動作がスクリーンに反映されるってだけで、こんなに気持ちのいいものだとは思わなかった。ぼくが少し腕を振るだけでパドルは従順に動く。スクリーンの映像が変化する。なんだか自分が偉くなったような気がする。ひどい錯覚だけども。
さらに進んでいくと、もう4つくらい大きな部屋に分かれている…のですが。それ以降もほとんどの作品についてメモをとりスケッチをしてきたのだけど、やはり絵がひどすぎて、これ以上そんなものを皆さんにお見せするのは忍びない。なので、次に紹介する作品で最後にしてしまおうと思います。これが今回展示されていた中で、いちばん好きな作品です。
「Drift Net」という作品。一つだけ奥まったところにあり、真っ黒な壁に三方を囲まれた小さな空間が作られている。そして黒いのは実は壁ではなくモニターになっていて、3DCGで描かれた白い波やパーティクルが画面上をほとばしっている。
天井にはカメラがあり、三面のモニターの前にいる人間の動きをとらえている。
モニターの外の壁には普通の液晶ディスプレイがあり、普通のインターネットのサイトが表示されている。
この作品、実はインターネットを題材にしたものだ。通常のインターネットでは、取得されたデータはブラウザによって人間が閲覧できるカタチに組み立てられる。この「Drift Net」はWebサイトからダウンロードしたデータをそのまま数字の羅列として扱い、そこから「波」のグラフィックを生成して画面に表示する。そしてカメラがモニターの前の人間の動作を解析し、得た情報を画面上の波に反映させる。ぼくが思いっきりジャンプすれば、波も大きく上下にしぶきをあげるといった感じ。そしてその結果生まれた新たな波を解析、それに合致するサイトをネット上から探してきて、外の壁のモニタに表示する。あとはずっとこの繰り返しである。インターネットの情報を波にたとえ、人間が体をつかってその中をサーフィンする、文字通りのネットサーフィンを具現化した作品なのだ。
跳びはねたり、姿勢を変えるととそのたびに、違うWebサイトにアクセスしていく。試しにいろいろやってみると、niftyのインド占いにジャンプした。(おそらくこのサイトのどこかだろう。)これは結構楽しい。誰も見ていないのを確認してあんなことやこんなことをやっているうちに、自分が「お米は生きている」というサイトをやっていることを思い出した。
なんとかして、「Drift Net」でお米は生きているをサーフィンすることはできないだろうか?ある形の波を起こすことができれば、その波を起こすポーズさえ発見すれば…。
と一瞬だけ思ったが。ネットの情報量の膨大なこと、こりゃあぼくの残りの人生をすべて費やしても無理に違いないと思い直してあきらめることにした。
●●●
とまあ、いろいろと端折ったうえに小学生レベルの絵まで披露してしまった今回のNTTICCレポートですが。色々な珍しいメディアアートに触れるし、何より無料なので、お近くにお越しの際はぜひ行ってみたらいかがでしょうか。おしまい。
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