ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています

第22回 いまどきのTOKYOミッドタウン


東京ミッドタウンっていうビルが最近できたらしい。
六本木に建てられたビルだそうで、六本木ヒルズのすぐ近くなのだとか。

オープンしたばかりのとき、TVで特集をやっているのをみたことがある。でも、お金を持ってない人が行っても楽しくないだろうということで、ぼくはミッドタウンには何ら興味を持てなかった。六本木ヒルズにだって行ったことないのだから、同系統のビルが新しくできたからってわざわざ行ってみようなんて思うわけがないのだ。

だが思わぬ機会があって、その興味のないビルに行くことになってしまった。
その機会とは、こちらの企画展「Chocolate」。深澤直人ディレクションのチョコレートがテーマの展示会で、これはミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHTというアートスペースで催されているのだ。

なんでそんな展示を見に行くのかというと。ぼくは別にアートとかデザインとかに特別な興味はないので、普通だったらわざわざ入場料払ってまでそんなとこに行きはしない。しかし大学の授業のレポートで、何らかのメディアアート的な展示を見に行って書け、というものが出てしまって。仕方なしに教授がリストアップしていた企画展の中から、都合が合いそうな「Chocolate」に行ってみることにしたというわけなのだ。

そんなわけで、東京ミッドタウンにやってきたのです。


最新のビルだけあってなるほど、非常にリッパだ。Wikipediaによると高さは248mで都庁や六本木ヒルズ森タワーを抜き都内トップの高さだとか。
でも、そういうビル建築の背比べってちょっとどうかと思う。あのビルは高さ○○mだから、こっちはそれより1m高くしよう!っていう思惑で設計している気がするし、それはたぶん当たっているんだろう。身近なところでいえば名古屋駅周辺のエリアで、先行するJRセントラルタワーズに対し後発のミッドランドスクエアはライバルを2m上回る高さで建てられた。ちまちました争いで、なんだかカッコ悪い。高さなんか気にしないで、低くても特徴あるデザインのビル建てるとか。高さにこだわるなら、一気に相手の倍ぐらいのヤツを建てるとか。ふはは!こわっぱめが!!みたいな。そういう勝負の方がおもしろくなるのになあと思う。まあ倍は無いか。

ビルを眺めていてもしょうがないので、さっさと21_21 DESIGN SIGHTへ。東京ミッドタウンに隣接する檜町公園と一体化しているような感じになっていて、公園の木々は完璧に整えられていて緑色がとてもきれいだ。




そしてこれが21_21 DESIGN SIGHT。「いかにもアート」な形状をしていてちょっとむかつく。もっとこう、公衆便所みたいな形で建てたらいいのに。


入り口の壁面に張ってあった、今回の展示「Chocolate」のポスターです。チョコを顔面に塗りたくられるモデルさん、体張ってるなあ、辛かろうに。いや、甘かろうにというべきか。

そう、この展示はタイトルの通り、チョコレートがテーマなのです。約30組の作家が、「チョコレートを通してとらえた世界」を各自の視点で表現するとかで。
チラシにはこんな文句が添えられていた。

「10人のうち9人はチョコレート好き。そして10人目は嘘をついている(ジョンG.トゥリアス)」

これには少し引っかかる物を感じる。いや、ぼくもチョコレートは嫌いじゃないしどちらかと言えば好きだ。たぶんみんなそうなんだろう。けどチョコって要するに、「最も代表的な糖分のカタチ」なわけで。オレは砂糖が食えねぇんだ!って人間はいないわけで(糖分は不可欠な栄養素だ)、砂糖のカタマリであるチョコレートをみんなが好きなのは当たり前の話だ。この言葉、うまいこと言っているように見せているが本当にそうだろうか?チョコでなくてカレーなら、ああなるほどねと納得がいくのだが。

当然のことだが館内は撮影禁止だった。ちょっとだけ展示の内容を記しておくと、大きく分けると「チョコレートそのもの」と「チョコではないけどチョコレートを感じさせるもの」の二種類。
前者では、「人とチョコとの関連性から連想を広げて新たに作られた」というチョコレートを見ることができた。マーブルチョコの表面の薄くてカリッとした膜が板チョコ全体を包み込み、プラスチックのおもちゃみたいになってしまったものとか。色は本当にプラスチックっぽいが、やたらにおいしそうに見えた。それと、板チョコの割れ目の部分と実際にチョコが割れる部分がずらしてあるやつ。とたんにチョコの割れ目がおしゃれなデザインに見えてきてしまうのがおもしろい。そんなものが印象に残った。
後者は、チョコレートの特に「色」を他のさまざまなものから見出し、それらが「なるほどチョコっぽいね」と思ってしまうようなカタチで展示されていた。てかてかしたエナメルのくつとか。チョコレート色のみならず、白やピンクや緑色でも、そこに人はチョコレートを見出してしまうってのがおもしろかった。

という風に、見ていてとてもおいしそうで、チョコレートという食べ物は人間にとって一つの概念でさえあるという面白さ、それを抽象して生まれた面白さをも味わうことができた楽しい企画展だった。

ただ、気になったのは。ほぼすべての作品が、先ほど引用したジョンG.トゥリアスの文句で言われていた「みんな大好きチョコレート」という前提からちっとも外れていないということだ。

もちろん、せっかくチョコについての企画展をやるんだから、チョコについて肯定的な展示の方が見ていて楽しい。これは砂糖のカタマリだ!たんと食って太れ!ファック!高血圧で死ね!っていうメッセージの展示は、(それはそれでおもしろいかもしれないが)ちょっとイヤな気分になるかもしれない。
でも、チョコレートと人間との関わりがテーマなのなら、マイナスの面にだって目を向けるべきなんじゃないだろうか。試験勉強中についついパクパク食ってしまって体重が増えるとか、虫歯になるとか、血圧が上がるとか。食ったらベロが汚い茶色になるとか。男性の多くが、チョコは何個か食べるとノドが焼けてしまってそれ以上は食えたもんじゃなくなるってこととか。(女の子はどんだけ食うんだってくらい食べる気がするが)マイナスの面とか、人によるチョコに対する好き度の違いとか、そういうところから見ていって最終的にチョコと人間の関係を肯定する、そういう作品もあった方が楽しいのではと思う。その点において今回の展示では、虫歯くらいにしか触れられてなかったのが物足りなかった。

まあ具体的なアイデアは何にもないというか、ぼくに思いつくわけがありません。

Chocolateを見終わったあとは、檜町公園をうろうろしてましたがこれといって特筆すべきことなし。ミッドタウンにも入ってみたが、やっぱりぼくには縁のない店ばかりだった。

というわけで最後に、ミッドタウンの入り口付近にあったベンチです。


この形状、ここで寝ろとでもいうのでしょうか。このぼくをもってしても若干恥ずかしいぞ。