ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています

第21回 いまどきのTOKYOタモリカレー


芸能界の大御所であり究極の趣味人としても知られる、森田一義ことタモリ。アマチュア無線とかボートとか坂道とかとにかく多趣味な人で、料理も趣味の一つであるらしい。そんなタモリが長きにわたる追求の結果辿り着いた珠玉のカレーを一般人にふるまうというイベントが、ほぼ日の企画で行われたとか。

このカレーは、タモリが仲の良い芸能人を自宅に招いたときに出されたりするらしい。一般人ではどう考えても食べられないこのカレー。糸井重里とタモリのちょっとしたお喋りから発案されたこのイベントで、途方もない倍率の抽選をくぐり抜けた幸運な人に、ついに食べる機会がめぐってきたというわけだ。

デイリーポータルZの記事でこんなイベントがあったことを知って、事前に情報をキャッチしていれば応募したのになあと後悔した。とんと抽選ってものに当たったことがないぼくだから、どうせ外れていただろうけど。タモリのカレーが食べられるなんて一生に一度だってない貴重な体験なのだから、万に一つにかけてみたかったなア。

しかし、なんとレシピが公開されている!!イベント運営の粋なはからいである。それを見て、ここはいっちょ作ってみるかという気になった。たいして料理うまくないっつうかむしろ下手だけど、レシピを見て作れば本物のタモリカレーには及ばずとも、それに近い物なら作れるんじゃなかろうか。普段カレーは市販のルーのやつしか作らないので、ちゃんとスパイスを使ったカレーの初挑戦にちょうどいい機会でもある。

というわけで、レシピの通りに材料を買ってきたのでありました。

●材料

鶏モモ肉 500g
じゃがいも 3個
炒め玉葱 180g
ホールトマト 1缶
とろけるチーズ 2枚
カレー粉
クミン
ターメリック
ミックスフルーツチャツネ
ニンニク
しょうが
牛乳
ヨーグルト
赤ワイン
ビール
砂糖 塩 醤油

なお、マンゴーチャツネが近くのスーパーになかったためミックスフルーツチャツネで代用した。マンゴーもミックスフルーツもたいして変わらないだろうということで。果物だし。ところでチャツネって何だろう。

●調理

調理もレシピ通りなのだけれど、うちはコンロが1個しかなく同時作業ができないので、煮込み開始までに炒めるのは全部済ませておくことにする。


鶏肉にカレー粉、ターメリック、クミンをもみこんで下味をつける。そしてその肉をフライパンで軽く焼く。この段階でもう、カレー粉とスパイスのとてもおいしそうな香りがする。香料というくらいだから、いい匂いがするのは当たり前か。この後の行程を一切やめて、この段階で「鶏肉のカレー炒め」として食べてしまいたくなってきた。しかし、タモリカレーを食べるためにここはがまんだ。


ホールトマトをぐちゃぐちゃに潰す。世の中への恨み辛みを込めて、それはもうぶちゃぶちゃのどろどろに。ミキサーが無いのでマッシャーを使った。
これに赤ワイン、ミックスフルーツチャツネを加える。


ニンニクとしょうがをすり下ろし、炒め玉葱と混ぜ混ぜしながら弱火で炒める。しょうがの匂いが強くなってきたら、カレー粉とターメリックとクミン、牛乳とヨーグルトを入れてどろどろにちゃにちゃになるまで炒めながら混ぜあわせる。


さて炒め物が終わったので、いよいよ煮込み開始である。鍋に水を1リットル入れて沸かし、炒めた鶏肉を入れて煮立たせる。


ぐつぐついってきたら、トマトやらワインやらの液体を投入。またひと煮立ちさせる。


ここで重要な儀式である。ビールを開ける。いや発泡酒だけども。デイリーポータルZによると、タモリ曰く「ビールも飲まずにおいしいカレーが作れるわけがない」だそうだ。普段そんなに飲まないぼくも、ここはおいしいタモリカレーを作るためにタモリに倣ってビールをごくごく。いや発泡酒だけども。


ビールでノドを潤し、テンションが上がってきたところで玉葱やら何やらの、どろどろのルーっぽいのを投入。また煮立ってきたらチーズやら醤油やら砂糖やら塩を投入。

あとは2時間煮込むだけ!匂いが普段のカレーとはぜんぜん違って、なにやら本格的な感じがする。もう待ち遠しくてたまらない!2時間の煮込みの間は手持ち無沙汰だが、そういや「マッシュカレーポテト」なるものをまだ作っていなかったのでそちらに移る。

そう、このカレー、まだジャガイモを入れていないのだ。ここまで使っていないジャガイモで、マッシュカレーポテトを作るのである。タモリは長時間煮込んで煮くずれしたジャガイモが許せないらしく、ジャガイモとカレーと一緒に煮ない方法を考えたのだとか。


ジャガイモを洗って芽をとり、ラップに包んでレンジで8分チンする。やけどに注意して皮をむいてからマッシャーで、キテレツ大百科で歌われたようにぐにぐにと、これまた世の中への恨み辛みを込めてつぶす。カレー粉と塩と牛乳を加えてまんべんなく混ぜれば出来上がり。これをマッシュカレーポテトというらしい。カレーに直接ジャガイモを入れず、ごはんといっしょにこのポテトをよそい、そこにカレーを入れてぐちゃぐちゃに混ぜ合わせる。それがタモリカレーの正しい食べ方なのだ。


2時間の煮込みが終わり(その間趣味のインターネットなどをしつつ)、ポテトとごはんとカレーをよく混ぜ合わせて完成した、これがタモリカレーであります。ぐっちゃぐちゃなので少々見た目が気持ち悪いが、気取るな!とタモリがイベントで言っていたということなので、気取ってはいけないのです。

しっかり煮込んだだけあって、鶏肉がすっかり糸状にほぐれている。ところどころがちょっと赤いのは、マッシャーでつぶしたトマトの名残か。そういや、ホールトマトの分量を誤っていた(レシピの3~4倍の量を入れていた)ことに途中で気づいたのだけど。カレーとトマトはよく合うはずなので大丈夫だろうと思い直す。スパイスの香りが、普段食べているカレーとはワケがちがうことを物語っている。

わくわくしながら一口食べてみると、意外な味というか、ちょっと言葉に表現しがたい味した。なんていうか、よくわからない味。材料のおのおのの味がごっちゃになってはっきりしないというか。けど4口くらい食べたあたりからだんだん、スパイスの風味やポテトの舌触り、トマトの甘みがくっきりと感じられるようになってきて、あとは最後の一口までずっとおいしく食べ続けられた。このカレー、食べていて飽きがこないのだ。カレーってふつう、最初の一口と同じ味がずっと続いてお腹がいっぱいになるにつれて食べるのがつらくなってくる。でもタモリカレーにはそういうことがなかった。味に奥行きがあるというか。

一人暮らしだとカレーって、鍋いっぱいにつくって延々と食べ続け「明日もカレーかあ…明後日も」とゲンナリしてしまったりするけれど。タモリカレーなら、しばらく続いてしまってもおいしく食べられそうだなと思った。

まあ、せっかくいつになく気合い入れたのに、誰にふるまうのでもなくすべて自分で食べたってのが若干むなしかったりはしたが。カレー自体はとても満足のいくものだったのでこれからも時折つくってみようと思う。このカレー、別名プレーンタモリとのことで。確かに無駄がないというか、特徴的な具は入っていません。ここからは作る人が各自で足し算をしていけということのようなので、今度はナスとかキノコとか入れてみよう。

今回はただの料理日記になってしまいましたが、みなさんもレッツ・プレーンタモリ!レシピはこちら!!