ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています

第14回 いまどきのTOKYOちんこ祭り


皆さんは「豊年祭」をご存じだろうか。

豊年祭とは、愛知県は小牧市の田懸神社で年に一回催される、天下の奇祭として知られるお祭りのことである。なるほど、祭りの宣伝ポスターでも「天下の奇祭」と実行組織自ら宣っているしTVで報道されるときの文句も「天下の奇祭!」等となっている。

自他ともに認めるだけあってまことに奇妙なお祭りであるのだが、どのように奇妙なのかというと。田懸神社で崇められているのはよりにもよって「男性器」である。なので毎年3月15日の豊年祭では厄年の男たちが男性器の、身も蓋もなく言ってしまえばちんこの巨大な神輿を担いで練り歩くのだ。確かに奇っ怪である。というかそんなに大っぴらに、そんなものを出していいんですかっ!?ハレンチすぎますぞっ!
男根崇拝の神社は、多神教の日本にあっては探せば何個かありそうな気もするが、これほど大っぴらにハレンチな祭りをやっているのはここくらいのものだろう。

この豊年祭、TVではおそらくローカルのニュース番組くらいでしか扱われていないはずだ。全国ネットではさすがに、あのような立派で重厚な造形の男性器を流せないだろうし。
しかしぼくがこの祭りの存在を日記サイトやブログのレポートで知ったように、ネットのお陰で全国的に有名になりつつあるとも思うので、ここで扱うことには特に目新しさはないかもしれない。だが田懸神社は実家からそう離れていないところにあるので、(小牧市は名古屋市の北に位置している)ちょっとした話のタネにでもなるかなと思い、帰省ついでに行ってみたのでした。
…こんな祭りに行ったことなんて、何の話のタネにもならないかな。
「ボクさぁ、お祭りに行ったんだ!ほら、ちんこ!あのちんこ祭り!知らない?ちんこのお祭り!でっかいちんこがさあ!」
こんなこと誰にも言えないな。


そんなわけで、田懸神社を初めて訪れてみたのだった。かなり早めに到着したので、祭りのハイライトたる神輿の登場まではまだ時間がある。出店が並ぶ境内をうろうろして、田懸神社の何たるかをまず押さえておくことに。

ネットで読んだいろいろなレポから覚悟はしていたのだけど、至る所に散見される、ちんこちんこちんこ。


ぼくは育ちの良い上品な人間なので下ネタの類は大嫌い、なんてのはやっぱり嘘なのだが。田懸神社のこの開けっぴろげさというか、そのまんまさにはちょっとたじろいでしまう。大山のぶ代時代のドラえもんは「それを言っちゃあおしまいだよ、のびたくぅん」とよく言っていたが、ぼくは田懸神社に「それを出したらお仕舞いだよぅ」と言いたい。

ぼくは小中学生レベルの下ネタは好むが、大学生が飲んでるときに話すような現実的すぎる下ネタにはまったくついて行けない。ぼくの考える両者の違いについては気恥ずかしいので詳しくは述べないでおくが、前者はファンタジーで後者はリアル指向だと言っておこう。まったくのイマジネーションならばおもしろおかしく話せるが、そこに現実が入ってくると深刻すぎてちっとも笑えなくなってしまうのだ。

田懸神社は子孫繁栄が御利益なのだから、こりゃもうそういった行為はファンタジーでもなんでもないリアルそのものなわけで、そんな神社に写真のようなブツがそこらじゅうにあったとなれば、精神年齢が中学生レベルのぼくは「うわあ…」と引いてしまうのである。行ったことはないけれど、秘宝館と同様の感覚をおぼえるというか。
まあ、そんなぼくのどうでもいい下ネタについての思い入れは置いといて。


この写真に写っているモノ、形は思いっきりアレなのだが、たぶん女性が先端を撫でると子宝に恵まれるとかそういう感じなんだろう。境内はどこかしこもたいへんな人で賑わっていて、奥宮の前にも列ができていた。ぼくの前に並んでいた大学生くらいの女性がこれを撫でていると、側にいたおっさんが「もっと!こう!出るように!運が、出る!ように」というどうしようもないセクハラ発言をしていた。こういう発言がスルーされてしまう空間ってすごいよなあ。


そして、こんな説明書きがあった。男子はこの雄大な形相にますます発奮するとのこと。うーん。充実とは程遠い大学生活を送っているぼくのこと、できればそうありたくはありますが。これを見て「よーし!やるぞ!!」とはならないなあ。


少々入り込んだところにあった、珍宝窟。あんまりなネーミングにびっくりである。ちんぽうくつ。左右の玉をさするとそれぞれ御利益があるそうな。なにげに五七五で「玉さすり 賽銭いれて 珍となる」とあるが、いったいどういう意味なんだろうか。言われたとおりやってみたが、ぼくは果たして「珍」になれたのだろうか?

神社参拝と言えばやっぱり絵馬です。やっぱり安産や子宝の祈願ばかりだったのだが、そのなかでひときわ光っていたものがこちら。


なんだか、他の神社よりも効きそうな気がします。

境内を回っていてその他にも色々なものを見つけたのだが、結局どれもちんこだった。それ以上の説明は不要かと存じますので、画像でお楽しみください。


そろそろ神輿がやってくる時間になってきたので、田懸神社に面した道路に出る。すでに人だかりができていて、その隙間になんとか身体をねじ込むと、勇ましい掛け声とともに神輿の一団がこちらに向かってきているのが見えた。


小ぶりというには立派すぎるサイズのアレを抱えて淑やかに、隊列の先頭に続く巫女さんたち。先頭には、春画っぽいタッチのイチモツののぼりが揚げられていた。本当に、何から何までちんこです。

続いていくつもの神輿がやってきたのだが、担ぎ手の男達はみななぜか赤ら顔であった。それもそのはず、よく見ると担ぎ手にはビールが配られていて、補給の体制も万全で無くなればすぐに注ぎ足されていた。皆さん出来上がった状態で担いでらっしゃるのだ。
余ってしまったビールは見物客にも配られていて、ぼくもなんとなくいただいてしまった。この日は肌寒かったので、あんな薄着のうえにビールでは担ぐテンションが上がらないんじゃないかとも思ったが、さすがは祭りに燃える男たちということか。それを感じさせない熱い担ぎっぷりであった。

いくつかの神輿が過ぎていったところで、主の登場です。






なんとも勇ましい限りである。大男茎形(おおおわせがた)というらしい、この祭りのメインといっていいだろう。激しく前後し、大回転もおりまぜて大暴れする姿は、まさに暴れん棒将軍というほかない。


そして神輿は田懸神社へと到着し、これまた人だかりの境内にやってきた。見物客も報道陣も、みんながみんな「ちんこ目当て」というのがスゴイ。いまだかつて、こうまでに人を寄せ付けるちんこがあっただろうか?ブラッド・ピットのモノを以てしてもこうはいくまい。

さて、神輿も終わったところで残すイベントは「餅投げ」のみとなった。
祭りの協賛企業や厄男の方々が壇上から餅を投げ、ひしめく見物客がわれ先にとそれを取り合うのである。


すでに皆さん準備万端のところに、「餅や人にぶつかって怪我しても知らん」旨のアナウンスが再三なされ、いよいよ餅投げが始まった。こういうのは端から見ているとアホくさいが、群衆の中に入ってみると何故か欲しくなってしまうものである。ぼくもご多分に漏れず、何とか餅をゲットしようと躍起になってしまった。気分はプロ野球の試合開始前、選手がスタンドに投げ入れるサインボールを追う少年である。なにげにグローブ持参のやつがいるところも似ている。

たかが餅のために老若男女が必死になり、激しい争奪戦が展開された。投げる側の肩の弱さを非難する中学生らしき男子がいた。あまりに中学生的な発言でちょっと微笑ましい。あっというまに全ての餅が投げ込まれ、餅投げの終了と共に豊年祭はお開きとなったのだったが…。


ぼくも辛うじて、1個だけ餅を手にすることができた。矢のように飛んでくるライナーを、華麗な手さばきでがっちりと捕球…したのではなく。飛球が前の人の手にワンバウンドしてぼくの顔面に命中、一瞬目の前がまっ白になったが気を取り直し、地面にこぼれ落ちた餅を拾ったのであった。すげぇかっこ悪い。メガネが無事でほんとうに良かった。

そんなこんなで、他ではお目にかかれないまさに珍妙な祭りを堪能し、お土産を手に意気揚々と田懸神社を後にしたのでありました。

●おまけ

そういや、見物客には外国のかたがかなり多かった。全体の2割はいたのではないかと思う。確かに、こんな祭りが見られるのは先進国では日本くらいのものなのかも。他の宗教圏ではありえないな。CNNかどっかで報道されたこともあるらしく、外人にはすごくウケているみたいです。

ということで、何かの間違いで当サイトのこのページを見ている外人さんの為に



Japanese Tradition

とアピールしておきます。