ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています

第13回 いまどきのTOKYO手帳


大学生の必需品のひとつに、手帳ってものがあるような気がする。

無きゃ困るというもんでもないとも思うのだが、現実にみんながみんな、手帳を持っているような気がするのだ。学期末にさしかかってくると、講義中に教授がテスト範囲をさらさらと板書し、生徒はかばんから手帳をとりだしてそれをメモするという光景が見られる。当然その手帳にはテストやレポートなどの学校関連の予定だけでなく、アルバイトやサークル活動、友人や恋人と遊ぶ予定なども記されているんだろう。

一般的な大学生の毎日は、さまざまな予定で埋まっているにちがいない。何かに書いておかないと覚えきれないほど沢山の予定に。予定を書き留めておくのには携帯電話のスケジュール帳も使えるが、携帯のキーで長文を打つのはとても面倒だ。アナログな手帳ならさらさらと書けるし、パっと開けばひと目で毎日の予定が目に入る。なるほど便利である。だからみんな、手帳を使っている。

ぼくは、手帳を持っていない。大学の課題をメモする為に必要かなと思ったことはある。が、大学生活が孤独すぎて人間とのコミュニケーションが苦手になってしまったぼくのことだ。絶望的に人間との関わりが無いため、手帳を持っていても学校の予定しか書かないことが予想される。そう思うと、そんなの講義のノートに書いておけば済むので手帳はやはり必要無いという結論に落ち着いてしまう。

でも、いいなあ手帳。かばんからパッと出してサラサラと書く一連の動作がスマートだもの。そしてその動作は「私、毎日忙しいけど充実してるの」と無言のうちに語っている動作でもある。語学のクラスで飲み会をやるとかいう話になったとき、パッと出してパラパラめくり「あ、その日なら大丈夫!」とか言う女子。オレは毎日空いてるよ畜生!ちなみにその類の飲み会には、見栄を張って行かないことが多いです。

そんな手帳について悶々とした思いを抱いていたおりに(ぼくは常に悶々としているが)、ふらふらと立ち寄ったロフトで手帳コーナーを発見した。それは2月の終わりのことであったそうな…。


色鮮やかな手帳たちに、ぼくは目を奪われてしまった。かっこいいなあ…。そして、欲しいなあ…。悶々とした思いが、実物を見た瞬間に「欲しい」という衝動に変換されてしまったのだ。

…買ってしまおうか。テストや課題の予定を講義ノートにメモするのも、そもそもぼくは板書を写したルーズリーフはバインダーにまとめず散乱したまま放っておくというズボラな人間なので、重要なメモごと紛失しやすいという危険を孕んでいる。昨年度はそれなりに単位を取れたものの、こんなことを続けていたらいつかはテストをすっぽかして落とすだろう。そう考えると手帳はやはり持っておいた方がいい。

それに手帳を使っていると、愛着が沸いて学校以外の予定も書き込みたくなり、だれかと遊ぶ予定を作るために人間関係に積極的になって友達ができるかもしれない。なんという好循環だろう!がぜん手帳購入のモチベーションが高まってきた。これは買うしかないぜ!

いとも簡単に購入に転じ、気に入る手帳を探すことに。


手帳はかっこいい。とはいっても、手帳のデザイン自体は似通ったものが多く、3パターンほどに大雑把に分類できてしまいそうだ。上の写真のような、ノートとかにありがちな「無地+意図のよくわからない英語」みたいなのが特に目立つ気がする。

こういうのは、シンプルなのはまあいいけどあまり買う気にはなれない。ただの手抜きではないか。どうせ手抜きなら、よりシンプルに無地でいいじゃないか。こんなの、デザインセンスなど持ち合わせていないぼくでもできるぞ。


英文の内容は気にしないでいただきたい。
次に目についたのはこちらである。


イカリ。港の地図記号でおなじみ。普通のデザインだが、このマークを目にするとぼくはどうしても、別のイメージが強烈に頭に浮かんでくるのだ。


どことなく、イカリのマークと似ていないだろうか。これは、「元プリンス」のマークである。

アメリカ人ミュージシャンのプリンスは90年代、レコード会社との確執から自らの名前を捨てて、読み方が一切不明のこのマークを自分の新たな名前にした。米メディアは読もうにも読めないこのマークの扱いに困ったのか、彼を「The artist formerly known as Prince(かつてプリンスとして知られていたミュージシャン)」と呼んだ。日本ではその流れを受け、彼を「元プリンス」と呼ぶこととなったのだった。(何年か前にレコード会社との関係がようやく解消され名前は元に戻っています。)

もしイカリでなく元プリンスのマークの手帳があったら速攻でそれに決めていたのだが、現実はそううまくはいかないものだなあ。

しかし、ぼくのこういう嗜好は中学生的であると思う。バンドやミュージシャンのロゴが入ったものを持ってるのって客観的には結構ダサいのに、自分ではカッコいいと思っているのだから滑稽である。中学校の机にLED ZEPPELINとかのバンド名を落書きしていたあのころと、何も変わっていない。

いろいろ迷った末に購入した手帳がこちらです。


無地のものが良いような気がしていたところに、オレンジとホワイトのポップな配色が気に入って、サイズも手頃だったので。
ただ、買ってしばらくして、持ち主がぼくであることを考えるとこの色はミスマッチなんじゃないかという気もしてきた。ぼくは「オレンジ×ホワイト」なんて人間か?うす汚いグレーとかだろう。いきなり、この手帳を持つのが恥ずかしくなってきた。人間には分相応というものがある。

そんなこんなで無事手帳も購入し、もう3月も後半になっているわけですが。手帳を購入してから半月以上がたつ今、


まっ白です。春休みで家に籠もりっきりの生活、予定などあるはずも無し。大学の予定も科目登録とかはあるんだけど、ネット見ればすぐわかるのでメモなんか必要ないし。

ああ、困った。折角あこがれの手帳を買ったのにこれじゃ意味がない!何か予定はないか。何か書き込んでみなければ。何でもいいから書こう!


何でもいいから書いたはいいが、これは何か違う。本当に、どうでもよすぎる。何か!他に何か!!


これはぼくにとってはどうでもよくないが、残念ながら他の人にとってはどうでもいい。ここらはもう、大学は夏休みである。8月になればぼくはアパートか実家のどちらかに籠もり、気まぐれにこの手帳を開き画像とまったく同じ状態のページを目にするのだろう。たやすく予想できてしまうところがもの悲しい。
…こんなんじゃなく、もっと何かこう、ドキドキするやつがいい!!


これは、ドキドキする。思わずときめいてしまう。まことにすばらしい予定である。
あとは、これを実行に移すだけである。実行に!移す!だけ、で、ある…。ぼくは今、案ずるより生むが易しという諺が誤りだと確信した。
…これって単に願望を書いてるだけだな。七夕のたんざくですか。

せっかくなので最後にでかいことを。ぼくの2008年2月。


こんなことができる人物になるためには、何をどうすればいいのだろうか。
ものごとを成すには具体的な目標を立ててそこから逆算して行動しろ、と言われたことがありますが。これは全くわからないな。

あんまりに予定がないもので、あることないこと書いていったらなんだか空しくなってきた。今回はこの辺で終わります。