ライター:としゆき
生まれは高松で育ちは名古屋、という東京には何ら関係ない人生を歩んできたが、最近上京したのでなんとなく「いまどきの東京」でも紹介することにする。
東京にはあまり詳しくないです。
当コラムはいまどきの京都(Travel@nifty)をはげしくリスペクトしています

第5回 いまどきのTOKYO皇居東御苑


大学のとある授業で、「日本の城郭」に行ってきてそこで見たことを論ぜよという課題が出た。

ぼくは東京の地理や風土に詳しくないので東京にどんな城郭があるのかなんてさっぱり知らず、ほとほと困ってしまった。「日本のお城」であれば良いのだから、東京ディズニーランドにでも行ってシンデレラ城について論じるというのも、生き方そのものがロックであるぼくにはふさわしいかもしれない。しかしさすがに単位がこないのは困るから、それは断念した。ぼくは生き方より単位を選ぶ実直な男でもあるのだ。

家からそんなに遠くないところにお城がないかなあとぼんやり考えているうちに、そういや今の皇居って元は江戸城だったんじゃなかったっけか、と思い出した。それほど遠くないし、皇居には前々から行ってみたいと思っていたところだ。

というわけで今回は、大学のレポートついでにこの連載でもかつての江戸城、現在の皇居東御苑を扱ってみることにする。

半蔵門線大手町駅を降りると、立派なビルが立ち並ぶいかにもビジネスタウンな街並みがぼくを待っていた。皇居といえば、閑静で広大な敷地が広がり緑に溢れているというイメージだが、ぼくを取り囲むのは大企業の本社と思われるビルばかり。降りる駅を間違えたんじゃないのか。そう思いながらも道なりに進んでいくうちに、いつのまにかビル群が開け一月の雲ひとつない青空が眼前に広がった。そしてその下にはやたらに幅が広くて深そうな堀と、いかにも歴史がありそうな風格のある門とおぼしき建築があった。ああ、ここがかの皇居なのか。



これは大手門というらしい。かつての江戸城は明治維新期に、京都御所から移ってきた皇室の住居となった。現在は皇居の東側の部分、江戸城本丸や二の丸三の丸があった部分が皇居東御苑として一般に開放され観光地化しているというわけだ。気前の良いことに入場無料である。入場料500円をとる名古屋城とは懐の大きさが違う。発券所で入場札を受け取って大手門をくぐる。

平日の午後であったためか観光客は少ない。見たところ観光客には外国のかたが結構多かった。彼らにとって、皇居ってアメイジングでファンタスティックだったりするんでしょうか。いかにも外人が喜びそうなものはないと思うのだけど。フジヤマとかゲイシャとか忍者はない。

しかし、この皇居というところはすごいところだと思うのも確かである。よくもまあ、東京のしかもビジネス街の中心にあってここまで静けさを保っているものだ。道幅は広いし空は高いし、松などの木々も綺麗だしで(やはり空気は多少汚いのだろうが)都会の喧噪をしばし忘れ心地よいゆったりとした時間を味わう。



二の丸庭園なんかは、天気がよかったのも幸いしてか、鏡のような水面に映る木々の緑と空の青さがすばらしい。この日はそれほど寒くなく、マフラーを巻いていると少し暑いくらいで、そんな散歩日和にこんなところを散歩していると大学の課題やテストのことなどどうでもよくなってしまう。

そういえば、皇居を歩いているとき、頻繁にお巡りさんとすれ違った。皇居はただの公園でなく皇室の邸宅であるから、苑内を皇宮警察がパトロールしているのだ。その皇宮警察の婦警さんの勇姿をパチリ。



二の丸のあたりから本丸の方へと続く汐見坂の坂道を自転車を押して登る婦警さんだが、やはり立ちこぎは恥ずかしかったのだろうか。腰をサドルから浮かして尻を左右にフリフリする「立ちこぎ」。実はこれって十代にしか許されないことなのかもしれません。いい年こいたおっさんが自転車を立ちこぎしている様は何か情けない。

「都道府県の木」ゾーンでの宮崎県の空気の読めなさを横目に、



(各「都道府県の木」が植えられているのだが、宮崎県だけ南国風味で他から浮いている。木の名前は「カナリーやし」。なんか抜けている気がするのはぼくだけだろうか。)
ぼくも汐見坂を登って本丸へ向かうことに。



本丸の江戸城天守閣跡の周りには、だたっぴろい芝生が広がる。人もまばらで、腰を下ろして広々とした空間に浸るとたいへん心地がよい。背景のビル群がひどく遠い世界の物質のように思えてしまう。芝生はきれいに整っていて、公園にありがちなフリスビーとかバドミントンとかやっている奴がいないのも気分がいい。



そしてこれが、天守閣跡の天守台。江戸城の天守閣は、1638年に三代将軍家光の代に完成したのだがそのわずか19年後、明暦の大火で全焼し消失してしまったという。なんとももったいない話だが、天守閣をなくしたまま今日まで残ってしまった天守台を見ているとなんだか可哀相になってくる。「オレは江戸城なのに、これじゃあ石のとび箱じゃねえかようっ!」という天守台の内なる叫びが聞こえるような気もする。

というわけで、勝手に画像加工によって「オレ江戸城天守閣」を身近な材料を用いて作ってみた。

1.江戸城天守閣 ~赤色の緑黄色野菜編~



一人暮らしの食生活では、野菜不足に気を遣う。ぼくはといえば、さいきんトマトが好きになのでほとんど毎日囓っているわけである。そんなトマトも天守台に載ればあら不思議、江戸城天守閣に早変わり。みずみずしい果実は防衛要塞には不向きだと思うが、このスケールのトマトはそれ自体兵器になりそうだ。大玉ころがしで大惨事。

2.江戸城天守閣 ~ピリ辛のビッグマグナム編~



そのまま朝食にしても良し、夕飯のポトフにしてもおいしいし、ビールとだって相性ばつぐん。そんなビッグマグナム(ピリ辛)も、天守台に載せればすぐさま江戸城天守閣に。装甲は羊の腸なのでおそらく、トマト以下に違いない。しかし、その立派なフォルムはなにやら主砲としての活躍が期待できそうである。超攻撃的形状といえる。こんな城を攻めたいと思う大名は居まい。

3.江戸城天守閣 ~お米は生きている編~



365日、日本人の食卓の主はやっぱりごはん。朝食はパンに押されてきているが、やはり夕飯はごはんがいいという人が多数派だろう。そんなごはんも、天守台に載ればあっという間に江戸城天守閣に。お茶碗は瀬戸物なので、今回の三つの中ではもっとも硬度が高い。そしてもっとも兵糧攻めに強いであろうことは間違いない。淡水化物だもの。守りを要とする天守閣において、これこそがもっとも優秀な天守閣といえる。

…本来の天守閣の他に何を載せても、可哀相な感じになるだけでした。