ライター:なかいち
世の中には2種類の人間がいる。それは、すぐ人を2種類に分けたがる人と、それを聞いて「人は2種類なんかに分けられるわけない」という人だ。こんな風に、勝手気ままにいろいろな角度から、人々を分類してしまおう というはなし。 ちなみに僕は、後者の立場です。

第18回 中学時代のはなし 


他人が持っているものというのは、たとえそれが全く不要なものだとわかっていても、やはり欲しくなってしまうものです。


僕の場合、それは、中学生の時に起きたことがあてはまる。
ある時、なぜだか、僕の中学校で指示棒ブームが起こった。
なぜか、多くの人(中学生)が指示棒を学校に持ってくるようになったのだ。(指示棒といえば、あの、のびちぢみして黒板とかを指し示す棒のことです。)

先生ならまだしも、学校に行って中学生が指示棒を使う機会なんて、もちろん無い。
なので、指示棒はもっぱら、前の人をつついたり、斜め前の人をつついたりすることに使っていた。

実際のところ、僕は今まで、指示棒がなかったために、どうしても困ったとか、生命の危機に陥ったという経験をしていない。普通に生活していた場合、指示棒を使う機会なんて、前の人や斜め前の人をつつく以外には、
のばした指示棒を、人の背中に押しつけてちぢめることで、
「あ~!棒が背中に刺さってる!!」
というふうに使うぐらいしか、僕には思いつかない。(指示棒を背中に当てながらちぢめることで、棒が背中に刺さっているように見える、というやつだ。)
つまり、この指示棒という物は、僕にとっては全く不要な物といっていい。

けれど、多くの人が持っていると、このように全く不要な物だったとしても、やはり欲しくなってしまうものだ。
しかし同時に、他人とは差別化を図りたい気持ちもあるので、単に指示棒といっても、持ってくる指示棒は人それぞれに、色々なバリエーションが出てくることになった。
例えば、先の部分のキャップを外すと、中がボールペンになっている指示棒や、先の部分が磁石になってる指示棒などだ。


指示棒というのは、単に、対象とするものを指し示せればよいので、最もシンプルには、単なる長い棒で良いはずだ。でも、やはりそれでは持ち運びに苦労するので、大部分の指示棒は、のびちぢみしてコンパクトになる機能が付いている、というのはよく分かる。
しかし、それ以外の機能というのは果たして付ける意味があるのだろうか。

例えば、先端にボールペンの機能が付いている指示棒というのは、果たして、どんな有用性があるのだろうか。
ボールペンが付いていることで、指し示しながら、指した部分にボールペンで文字も書ける、というのだろうか。しかし、ボールペンというのは紙面とある程度角度をつけていないと書けないものだし、第一に、長い棒では文字が書きづらいではないか…。

とはいえ、先端がボールペンになっている指示棒は、“指示棒として使わないときはちぢめてボールペンとして使える”というふうに、何とか解釈できる。だが、何といっても不可解なのは、先端に磁石が付いたバージョンの指示棒だ。
この磁石は一体何に使うのか?
普通に使う場合(指示棒を黒板などで指し示すために使う場合)を考えても、磁石が付いているために、黒板に指示棒の先端がくっついてしまって、逆に、物を指し示すのには使いにくいのではないかと思ったりするのだ。
ということは、この指示棒は普通に何かを指し示すために使う棒ではないに違いない。もっと別の使い方に特化した指示棒なのだろう。
つまりこれは、のばした指示棒を、人の背中に押しつけてちぢめることで、
「あ~!棒が背中に刺さってる!!」
というふうに使うためのものに違いない。
というのは、おもしろ半分に指示棒を背中に押しつける人とは違い、それをされた相手というのは益もなく、たまったものではないと思う。だから、せめて指示棒の先に磁石を付けることによって、その相手に対して、磁気の力でコリを取る機能というものをつけているのだ、と僕はふんでいる。すなわち、指示棒にピップエレキバンの機能が付いたものだと考えられるわけだ。


以上のように、単に指示棒といっても、様々な機能と融合した色々なバリエーションがあることがわかる。
このように考えてみると、実は、持ち運びできるポータブルラジオというものは、指示棒がラジオと融合したものに違いない。つまり、ラジオも聴けるが、アンテナ部分が指示棒にもなるということだ。
そんなことなら、中学時代にポータブルラジオを持っていけばよかった。