ライター:なかいち
世の中には2種類の人間がいる。それは、すぐ人を2種類に分けたがる人と、それを聞いて「人は2種類なんかに分けられるわけない」という人だ。こんな風に、勝手気ままにいろいろな角度から、人々を分類してしまおう というはなし。 ちなみに僕は、後者の立場です。

第11回 春のはなし 


世の中には4種類の人間がいる。それは、春が好きな人,夏が好きな人,秋が好きな人,そして冬が好き人だ。(『多種類の人間』第7回 冷え性のはなし より)


「天高く馬肥ゆる秋」ということばがある。
今でこそ、秋は空が高くよい気候で、馬が肥えて食欲の秋だなぁという、ほのぼのとした感じに使われることが多いが、この故事が生まれた中国ではもともと違う意味だった。むかし中国の北方では匈奴(きょうど)と呼ばれる、遊牧生活を営む騎馬民族がいた。匈奴が飼っている馬は、春夏のあいだに草原でたくさんの草を食べることで、肥えて成長する。秋になると、匈奴がその肥えた馬に乗って一斉に南下し、中国本土を攻めるので、それに対して「秋は、匈奴が侵略してくるので警戒せよ」という戒めをこめたものが本来の意味だったのだという。


話は変わって、今の時代、春といえば、桜・・・・・・でなく、ヴィヴァルディ
でもなく花粉症、という人が多いのではないか。

花粉症の季節に外へ出ると、マスクをしている人をよく見かける。しかし、ほんの10年ほど前には、そんなにマスクをして出歩いている人というのは見かけた記憶が、僕にはない。
最近マスクをする人が増えた理由には、花粉症の人が増えたということも一理あるのだろうが、いろいろな形のマスクが発売されるにいたって、だんだんとマスクをつけるという行為が定着していったからでもあるのだろう。

花粉症は鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状に苦しめられる。花粉症対策の一番の効果となるのは、やはり、花粉を体内に入れないようにすることなのだろう。そのためには、マスクはもちろんのこと、目から入ってくる花粉のためにゴーグル(ゴーグル型サングラス)をすべきなのだと思う。
ところが、今でこそ、春にマスクをした人は街中や駅でよく見かけるようになったが、ゴーグルまでした人には、なかなかお目にかかれない。ゴーグルをつけるという行為が定着するまでには、まだまだ時間がかかるのかもしれない。

しかし、ゴーグル(サングラス)をつけるという行為が定着して、マスクとゴーグルの完全防備という人が増えると、一つ困ったことになる。

マスクにゴーグル(サングラス)という格好をしてみれば分かると思うが、これはいかにも怪しげである。
春以外の季節(特に夏の暑い日)にこのような格好をして出歩いてみると、この人は強盗でないか知らん、と疑いの目で見られることは避けられない。
だが、花粉症シーズンになり、マスクとゴーグル(サングラス)をした人が増えた場合はどうだろうか。その場合は、逆に、強盗がマスクにゴーグルという姿をすることにより、この人は花粉症なんだな、とカムフラージュできることになる。花粉症の人にカムフラージュすることで、銀行の受付の人やコンビニの店員には強盗だと感づかれる危険性が減るし、マスクとゴーグルをした人が多いと、逃げるときだって目立たない。
これは、強盗にとってはこの上ない季節だ。
そうならば、困ったことに、春になると強盗が多くなってしまうかもしれない。


と、いうことは・・・・・・

花粉症対策として、マスクとゴーグル(サングラス)をした人が街中に溢れるようになった時には、「春は、強盗が増えるので警戒せよ」という戒めに、こんなことばができるかもしれない。

「花粉舞い強盗増える春」