ライター:なかいち
世の中には2種類の人間がいる。それは、すぐ人を2種類に分けたがる人と、それを聞いて「人は2種類なんかに分けられるわけない」という人だ。こんな風に、勝手気ままにいろいろな角度から、人々を分類してしまおう というはなし。 ちなみに僕は、後者の立場です。

第10回 自転車のはなし


世の中には2種類の人間がいる。それは、NOと言えない日本人と、その他の外国人だ。


僕は、外での移動手段としてはだいたい自転車を使う。僕は、ほぼ毎日自転車に乗っている。
ところで、僕の自転車をはじめて見た人はだいたいこう言う。

「変わった色をした自転車だね。」

というのも、僕の自転車は金色をしているのだ。
この、「変わった色をした自転車だね。」という言葉を聞くと、どうしても

「シュミ悪い色をした自転車だね。」

といっているように聞こえてならないのだが、そう言われると僕は

「うん、珍しい色だよね。この銅色。」

と言うことにしている。(これは、僕が子供の頃に、金メダルと銅メダルが同じ色のように見えていたことに由来する。)そうすることで、相手が

「あ、これは金色ではなく銅色なんだ。それなら、全然シュミ悪くないかも。」

と、考えてもらえることをささやかに期待しているのだが…。
そして、続けて僕は

「中古で、安かったんだ…。」

と、聞かれてもいないのに言い訳じみたことも言ったりしている。

しかしながら、安いといっても実のところは、この自転車は10000円と、中古にしてはそんなに安くない。ではなぜこんなシュミの悪い、そんなに安くもない自転車を好きこのんで買ったかというと、もちろん僕がNOと言えない日本人だからだ。


ある日、僕は自転車を買いに行こうと思い立った。
そして僕は安易にも、自転車を買いに行こうと思った地点から、最も近いであろう自転車屋さんに行くことにしたのだった。後でふり返れば、この選択が間違いだったのだろう。

店に入って自転車を眺めていると、中から店主らしき人が出てきた。

「自転車をお探しですか。例えばこれなんかはどうですか?」

と言うので、2~3の自転車を見せてもらい、さらに「もう少し安いのはありますか。」と尋ねると、

「中古でよければ、いいものがありますよ。」

と言って出してくれたのが例の金色の自転車だった。金色の自転車を出すと、この店主は話し始めた。

「この自転車は○○(某有名メーカー)製だから頑丈で長持ち。3段切り替えでオートライトがついて、10000円というこのお値段。もちろん消費税込み。今ならなんと、防犯登録料が無料!なかなかお買い得だと思いますよ……などなど」

この店主は、なぜ単価の高い新品の自転車ではなく、中古の自転車をこんなにも一生懸命売り込んでいるのだろうと思いつつ、このようなことを長々と説明してもらうと、何となくこの金色の自転車がいいもののように思われてくるから不思議だ。それに、わざわざ奥から出してもらって、「やっぱり結構です」とはとても言えない。ということで、いつの間にか金色の自転車を買うこととなったのだった。

この時はじめて僕は、訪問販売の怖さを知った。

とはいえ、実際はこの自転車が嫌いなわけではない。なぜかというと、使ってみて分かったことだが、乗っている分には、自分が何色の自転車に乗っているのか気にならないからだ。当然自転車を運転するには前方を見て運転することになるので、自分の自転車の本体はほとんど視界に入らない。つまり、自分の自転車の色を再確認するのは、自転車に乗ろうとする時と、自転車を駐めようとする時だけなのだ。そんな時間よりも、トータル的には、自転車に乗っているか、自転車自体が見えない場所にいる時間の方がずっと多いのだ。

繰り返すが、僕はこの自転車が嫌いなわけではない。